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外国人に日本語を教える方法や教材、分かりやすい教え方を簡単解説!【日本語教師】

日本語の教え方と教材

日本語教師って、どうやって外国人に日本語を教えているのでしょうか。

分かりやすく教える方法や教材などが知りたいです。

「外国人に日本語を教える」と聞いても、実際に教えている様子を見たことがない人は、なかなかイメージできないですよね。

「中学や高校の英語の授業みたいな感じかな?」
「でもあの時は先生も日本人で、教える時も日本語だったけど…」
「どんなテキストを使っているんだろう…」
「個人だと何から教えればいいか分からない…」

社会的にも認知度があまり高くない日本語教師の仕事(ボランティアもある)に、ピンと来ない人も多いと思います。

そこで今回は、日本語教師が用いることの多い教材や、一般的な日本語授業の形態・教え方を簡単に解説します。

この記事を読むだけで、日本語教育の現場の基本が大体分かると思います。

これから日本語教師を目指す方、ボランティアで日本語を教えている方、外国人に日本語を教えることに興味がある方は、ぜひ参考にしてみてください。

こんな人にオススメ!

✔️外国人にどうやって日本語を教えているか知りたい!
✔️外国人向けの日本語教材にはどんなものがあるのか知りたい!
✔️外国人に日本語を分かりやすく教えるコツが知りたい!

1.外国人には何語で日本語を教えるの?

「外国人に日本語を教える」と言うと、「じゃあ英語で教えるんだね!」と言われることはよくあります。

でも、実はいつも英語や他の外国語で日本語を教えている訳ではありません。

使用言語という観点から言えば、日本語教育には(他の言語教育も同様ですが)、大きく分けて以下の2つの教授法があります。

(1)直接法

国内の日本語教育の現場で主流なのは、他の外国語(媒介語と言います)を使わず、「日本語で日本語を」教える「直接法」という方法です。

日本語学校は、多くの場合1つのクラスに複数の国籍の学習者が在籍しています。

そのため、学習者の母語で授業をするとなると、日本語教師は英語や中国語やベトナム語など、複数の言語を操らなくてはいけなくなります。英語が分からない学習者も大勢いるからです。

でも、それは現実的にはほぼ不可能です。

直接法ならそのような心配をする必要がなく、クラスに何か国の学習者がいても対応できます

また、基本的には日本語だけで授業が進んでいくので、学習者は否が応でも日本語を聞いたり話したりする機会が増え、日本語の会話力を培うことができると言えます。

逆にデメリットとしては、以下のような点が挙げられます。

・学習者が教師の言うことを正確に理解できず、誤解が生じやすい
・教師が日本語だけで伝えようとして、時間がかかる
・説明や指示を正確に伝えるには、スキルが求められる

(2)間接法

直接法に対して、他の言語を使って日本語を教える方法を「間接法」と言います。

海外の日本語教育機関では、間接法の方が主流です。

これは、海外の場合、学習者の母語が単一である(または学習者が皆その国の第一言語は使用/理解できる)ことが多いからです。

海外の日本語教育機関では、文法や語彙は現地の日本語教師が現地の言葉で教え、日本人の教師は会話の授業を担当する、ということもよくあります。

間接法のメリットは、教師の言っていることが直接法の場合より遥かに正確に伝わりやすいこと、時間の短縮になること、学習者も質問や発言がしやすいことなどが挙げられます。

日本の高校までの英語教育も、多くの場合間接法(「日本語で英語を」教える)で行われています。

間接法のデメリットとしては、以下のようなものがあります。

・日本語を聞いたり話したり、日本語で考えたりする機会が確保しにくい
・日本語教師にも一定以上の語学力が求められる
・クラスメイトの使用言語が複数ある場合は対応するのが難しい

2. どんな教材を使って日本語を教えるの?

次に、外国人に日本語を教える際によく使われる教材(本)について見ていきましょう。

一口に「日本語の教材」と言っても、その種類は多様です。

このセクションでは、教科書がどのような項目に基づいて構成され、どう進んでいくか(日本語教育ではこれをよく「シラバス」と言います)に沿って、いくつかの教材(本)を紹介します。

(1)文型シラバス

日本語教育の場で最も多く使われてきた(今も使われている)教材として挙げられるのは「みんなの日本語」です。

日本語教師でこの本を知らない人はいないほど、古くから国内外を問わず広く使われてきた本です。

この本は、「文型シラバス」でテキストが構成されています。

文型シラバスとは、各課が文型(文法表現)に基づいて構成されているシラバスのことです。

例えば、みんなの日本語は以下のような構成になっています。

【1課】
・〜は…です/じゃありません/ですか(名前・身分など)
・〜の…(所属)
・〜も…です
・〜は…歳です

【2課】
・これ/それ/あれは…です/ですか
・(内容)の(もの)です
・(人)の(もの)です
・これ/それ/あれは(人)のです
・この/その/あの(もの)は(人)のです

このように、文型シラバスでは、各課の学習項目として、「文型」が指定されており、その文型を学び、使えるようになることを目標として学習が進んでいきます。

文型シラバスには、以下のようなメリットとデメリットがあると言われています。

【メリットの例】
・よく使う文型を網羅的、体系的に学べる
・簡単な文型から、徐々に難易度の高い文型へと進んでいくので学びやすい
・習った文型や文法事項を活かしながら、次の文型を学べる(文型積み上げ式)

【デメリットの例】
・使用場面のイメージがつきにくく、学んだ文型が実際の生活に結びつきにくい
・直接法の場合、文型を説明するために準備が必要で、教師の負担が大きい

(2)場面シラバス

次に、「場面シラバス」と呼ばれる構成のシラバスを使っている教材を見ていきましょう。

代表的なのは、「できる日本語」という本です。

この教科書は比較的新しいですが、最近採用する日本語教育機関も増えています。

場面シラバスとは、例えば「教室で友達と話す」「駅で駅員と話す」「デパートで店員と話す」のように、「いつ、どこで、誰と(、何について)話すか」という「場面」を基に課が構成されているシラバスのことです。

ここも実際のテキスト「できる日本語」の構成を例として見てみましょう。

【1課】
・学校で初めてあった人に自己紹介する(名前、国、○○人/対話)
・寮で最近知り合った人と話す(職業、立場)
・寮の歓迎パーティーで自己紹介をする(名前、国、○○人/独話)
・教室でクラスメイトと話す(趣味)

【2課】
・デパートの案内所や売り場で店員と話す(店や商品の場所を聞く)
・店で店員と話す(値段を聞く)
・レストランで店員と話す(注文をする)
・レストランで話す(忘れ物の持ち主を聞く/答える)

このように、「どんな場面で誰と話すか」が各課の柱となっており、その場面で必要な表現を学んでいくのが、場面シラバスの特徴です。

場面シラバスのメリットとデメリットは、以下のようなものが挙げられます。

【メリットの例】
・場面が明確なので、勉強したことが普段の生活に結びつきやすい
・予め場面や人間関係が設定されているので、教師の授業準備の負担が少ない
・必要度の高い表現から学べるので、サバイバルジャパニーズが必要な学習者に最適
・場面から話題を拡げやすい

【デメリットの例】
・文型を整理しながら積み上げていくことができない
・習った文型を他の場面で応用するのが、人によっては難しい

(3)機能シラバス

機能シラバスとは、「依頼する」「許可を求める」「謝る」「誘う」など、文型が持っている「機能」を課の柱として構成されたシラバスです。

こちらの「NIHONGO FUN & EASY」という本がその一例です。

例えば
2課は「場所を尋ねる」
5課は「許可を得る」
6課は「依頼する」

など、「何をするための日本語か」という「機能」を中心に学習が進んでいく形になっています。

ちなみにこの教材は、3課は「買い物」、4課は「コンビニ・レストラン」のように、場面を中心に構成されている課もあり、機能シラバスと場面シラバスのハイブリッドのような構成の本になっています。

この機能シラバスのメリットとデメリットは、場面シラバスと大体共通しています。

【メリットの例】
・文型を使う場面(状況)が明確で、生活に直結しやすい
・生活への必要度の高い表現から学べる
・何のための文型・表現化が明確なので、習ったものをすぐにコミュニケーションに使える

【デメリットの例】
・文型を網羅的に学んだり、整理したりしたい人には向いていない
・習った文型を他の場面や状況に応用するのが難しい人もいる

(4)can-doシラバス

最後に、can-doシラバスというタイプの教材を見ていきます。

このタイプの教材の代表例は、「いろどり 生活の日本語」です。

TOP | いろどり 生活の日本語

なおこの教材は、上のウェブサイトから無料でダウンロードして使うことができます(太っ腹)。

can-doシラバスとは、その名の通り「日本語を使って何ができる(ようになる)か」を基に構成されたシラバスです。

例えば「いろどり」では、以下のようなcan-doが設定されています。

1-1:人に会ったとき、挨拶をすることができる
1-2:人と別れるとき、挨拶をすることができる
1-3:人にお礼を言ったり、謝ったりできる


2-1:相手の言っていることがよく分からないとき、聞き返すことができる
2-2:日本語や他の言葉ができるかどうか質問したり、答えたりすることができる

このように、日本語を使って「できる(ようになる)こと」を柱に勉強が進んでいきます。

can-doシラバスのメリットとデメリットは、以下のようなものがあります。

【メリットの例】
・生活に直結する勉強ができる
・「この課を勉強してできるようになること」が明確なので、目標設定がしやすい
・can-doの達成に必要な表現のみ学ぶため、教師の授業準備の負担が少ない

【デメリットの例】
・文型を簡単なものから整理しながら積み上げていきたい人向きではない
・学習項目を他の場面や状況に応用しにくい場合もある

以上、4つのシラバスについて簡単に解説しました

ちなみに、これ以外のシラバスもいくつかあります。

また、実はシラバスの分類方法は、「文型」「構造」「場面」「機能」「タスク」「話題」などの解釈の仕方によって様々です。

どの分け方が正解という訳ではありません。

また、(3)のところで紹介した「Nihongo fun & easy」のように、シラバスの枠にとらわれない自由な構成の本もあります。

色々な教科書を実際に見てみて、多様な構成があるということを体感してみてください。

3. どんな授業形態で外国人に教えるの?

次に、日本語授業の授業形態について紹介します。

これに関しては、基本的に学校教育や塾、予備校等と大差はありません。

とはいえ、コロナ禍の影響もあり、日本語教育の形も、多様性を増してきているのは事実です。

(1)対面授業(個人・集団)

最も多いのが日本語学校や大学、専門学校等で行われている集団での対面授業です。

一昔前までは、この形がほとんどでした。

また、対面での1対1の授業(いわゆるプライベートレッスン)も、昔からよくある形式です。

家庭教師のようなイメージですね。

ただし、日本語教育のプライベートレッスンは、カフェなどの公共の場所で行われる場合も少なくありません。

(2)オンライン授業(個人・集団)

日本語学校や大学、専門学校でも、コロナ禍を機に、集団でのオンライン授業が一気に広がりました。

対面授業を一時的に停止して全面オンライン授業をしたり、日本に入国できない留学予定者にオンライン授業を実施したりする学校が多くありました。

個人の日本語教育も一気にオンライン化が進み、オンラインで日本語が教えられるプラットフォームに登録する日本語教師も、急激に増えました。

このおかげで、国内在住者だけでなく、世界中の日本語学習者にアプローチすることが可能になりました。

(3)ハイブリッド型授業(集団)

分散登校型やハイフレックス型など、様々な形式のハイブリッド授業も行われています。

例えば、集団で対面授業を行いながら、新型コロナウイルス感染者の濃厚接触者になった人は自宅でオンライン受講するとか、未入国の学習者がオンラインで通常の対面授業に参加するなどの形があります。

(4)オンデマンド型授業、Eラーニング(個人・集団)

オンラインで好きな時に授業動画を見られたり、練習問題にチャレンジ出来たりするようなオンデマンド型の授業、学習スタイルも多くなりました。

事前に動画教材を見ておいて、それについて対面授業で話し合うとか、対面授業の宿題をEラーニングシステムの中で出すなど、オンデマンド型と対面授業を組み合わせる形もあります。

4. どんなものを使って授業をしているの?

このセクションでは、日本語教育の現場でよく使われるもの(「教具」と呼ばれることもある)をいくつか紹介します。日本語教育特有のものもあります。

(1)ホワイトボードや黒板

これはどの形態の授業でも使っていると思います。

オンライン授業でも、疑似ホワイトボードがあったりします。

最近では、電子黒板を導入している学校もあります。

(2)絵カードや文字カード

最初のセクションで書いたとおり、国内の日本語教育では、日本語で教える「直接法」授業が主流です。

そのため、特に初級では日本語だけではどうしても説明できない場合がたくさんあります。

例えば、日本語では「こんにちは」「ありがとう」ぐらいしか言えない学習者に、「私」「あなた」「ここ」「あそこ」「青」「赤」「りんご」「魚」「肉」などの言葉を日本語で説明するのは不可能です。

でも、これらの言葉はイラストや写真などがあればすぐに伝わりますよね。

だから、特に初級の日本語の授業では、絵や写真などをよく使います

以前は、紙に印刷したものを教室に持参していたので、絵「カード」と呼ばれているんですね。

今はPPT等でスクリーン等に表示する形の方が主流になりつつあります(そうじゃない学校もあります)。

(3)プリント教材

日本の学校と同じように、授業中にプリントを配る場面も多々あります。

例としては、練習問題やテスト、活動の指示や説明を書いた資料などが挙げられます。

(4)PPTやPCアプリ、ウェブサイトやオンラインサービス

(2)のところでも少し書きましたが、PPTを使用して授業をするのも、日本語教育業界では当たり前になりつつあります(そうじゃない学校もあります)。

それ以外にも、CanvaやJamboard、Kahoot!など、様々なオンラインサービスやウェブサイトを授業に取り入れる日本語教師も増えてきました。

ウェブサービスやアプリを使う大きなメリットは、これまで時間がかかっていた授業準備を大幅に短縮できたり、学習者が興味を持つ内容や演出が簡単に作れたりすることです。

日本語教育も、単に教室で黒板や紙を使って授業するだけの形から、学習者のニーズや授業形態に合わせて、様々なICTツールが活用される形に変わりつつあります。

この変化は全力で推していきたい!

外国人が日本語の勉強に使っている他の方法やサイト(主に独学の方法)が知りたい方はこちら↓

日本語教師×ICTに特化したおススメの本はこちら↓

5. 授業中はどんな練習をしているの?

日本語教育では、基本的に日本語能力を4技能(読む・書く・聞く・話す)で考えます。

それぞれの技能を伸ばすために、作文や会話、聴解や読解などの練習をしていきます。

全ての練習をここで網羅することはできないので、初級の日本語教育(主に「話せるようになること」に重きを置いた授業)でよく行われる練習をいくつか紹介します。

(1)変換練習

文型シラバスの教材を使う授業でよく行われる練習です。教師が言った言葉(キュー)を、指示された形に学習者が変換して言います

例を見てください。

例①「て形」の練習(「~ます」を「~て」に直す)
教師 「食べます」
学習者「食べて」
教師 「読みます」
学習者「読んで」
教師 「来ます」
学習者「来て」…

例②「~てから」を使って文を繋ぐ練習
教師 「ご飯を食べます、お風呂に入ります」
学習者「ご飯を食べてから、お風呂に入ります」
教師 「宿題をします、寝ます」
学習者「宿題をしてから、寝ます」
教師 「コンビニに行きます、学校に行きます」
学習者「コンビニに行ってから、学校に行きます」…

上記のような練習を、学習者を1人ずつ指名して行ったり、クラス全体で行ったりします。

(2)応答練習

教師の問いかけ(質問)に応じて、学習者が答える練習です。

練習の難易度も、指示の内容によって変わります

・答えを教師が指定する場合(レベル1)
・答えのキューだけ教師が提示する場合(レベル2)
・自由回答の場合(レベル3)

などがあります。

答えのキューだけ提示する場合は、以下のような感じです。

何を答えればいいかは教師が指定し、それを使って回答の文を言う練習です。

例「昨日何を食べましたか?」に答える練習
教師 「昨日何を食べましたか? パン、卵」
学習者「パンと卵を食べました」
教師 「昨日何を食べましたか? ステーキ、サラダ」
学習者「ステーキとサラダを食べました」…

キューは教師が言う場合もあるし、イラストなどで見せる場合もあります。

(3)インフォメーションギャップ

文法の説明が終わったあとで、応用練習として初級でよく行われるペア活動です。

AとBの学習者に、「大体同じだけど、一部違う情報」が書かれた資料やイラストを配布し、習った文型を使ってその違いを2人で見つけていってもらう練習です。

間違い探しの絵をイメージすると分かりやすいと思います。それのもっと簡単なバージョンといった感じです。

例「<場所>に<もの>があります」という文型の練習
①AとBの学習者に同じ部屋の絵を配る。ただし、部屋に何が置いてあるかはAとBで異なる。
違いの例は、以下のようなもの。

・Aの絵はベッドの上に猫がいるが、Bの絵では犬がいる
・Aの絵は机の上に何もないが、Bの絵では机の上に本がある
・Aの絵は机の横に棚があるが、Bの絵ではベッドの横に棚がある

②AがBに「何がありますか?」と質問する。Bは「~に…があります」と答える。
③役割を交代して②を行う。
④どこが違ったかクラスで発表する。

(4)インタビュータスク

インタビュータスクとは、習った文型を使ってクラスメイトや先生に質問し、その答えをシートにメモしていくタスクです。まず質問に対する自分の答えを書き、その後2~3人の人に同じ項目の質問をし、答えを書きます。その後クラス内で「○○さんは…」とインタビューした内容を発表していきます。

例えば、以下のようなインタビュータスクがあります。

6番目に、自分の好きな質問が書けるようになっているのがポイントです。

例「~て(付帯状況)」の練習

(5)ロールプレイ

これはその名の通り、例えば医者と患者、母親と子供、駅員と乗客などになり切って、仮想の会話を行う練習です。

こちらも基本的には習った文法や語彙を使う練習の一環として行うものです。

指示の内容を変えれば、難易度も変わります。

・教師が会話の流れを決めておく。学習者は、穴あき部分の応答のみ考える(キューの有無も)。
・教師が指示内容だけ決める。例えば「○○という文型を必ず使う」「Aは必ずBをパーティーに連れてくる(ミッション)」など。
・教師が場面と役割だけ決めて、完全自由会話を作成。

(6)ディベート

中級以上のレベルの学習者は、ある程度日本語が話せるので、日本の中学や高校で行われるようなグループディスカッションやディベートなどの練習も取り入れることができます。

この練習は、「日本語『を』練習する」(1)~(5)とは異なり、「日本語『で』練習する」というイメージです。

日本語で話したり考えたりする力、瞬発力、発想力などを鍛える練習です。

6.どこで外国人に日本語を教えているの?

外国人が日本語を学ぶことができる場所(機関)には、以下のようなものがあります。

(1)国内の日本語学校

海外からの留学生、つまり、日本の大学や大学院、専門学校等への進学を目指す外国人は、多くの場合、来日後、一旦日本語学校に入学します。

そこで1年~2年間日本語を勉強してから、日本の大学等への進学を目指します。

また、日本語学校では、留学生だけでなく、短期ビザ、家族ビザ等で日本に滞在/定住している外国人も日本語を学んでいます

こちらは集団授業の場合がほとんどです。資格は必須です。

日本語学校についてより詳しく知りたい方はこちら↓

日本語学校の話
「日本語学校の話」の記事一覧です。

留学生についてより詳しく知りたい方はこちら↓

(2)国内の専門学校、大学

日本語学校を卒業した留学生や、海外で日本語を学び、渡日前入試等で合格した留学生は、日本の専門学校や大学で学びます

日本人の多くがイメージする「留学生」はこの人たちを指すことが多いでしょう。

大学や専門学校では、日本語をゼロから学ぶことは少ないです(大学の「留学生別科」は別)。

より高いレベルの日本語や、それぞれの学部・専攻の学習のために必要な日本語を学んでいくことがほとんどです。

こちらも日本語学校と同様、ほとんどの場合が集団授業です。資格は必須ではありませんが、(1)と同様、または(1)+修士の学歴が求められることが多くなっています(大学の場合)。

(3)海外の大学や語学学校

海外でも、日本語を学ぶ人はたくさんいます

国際交流基金の「海外日本語教育機関調査(2021年度版)」では、133か国8地域で、約380万人の人が日本語を学んでいると報告されています。

中国、インドネシア、韓国などの東アジアの国の学習者が多くを占めます。

主な学習動機は、日本のアニメやファッションなどのサブカルチャーへの興味や、日本への留学準備などが挙げられます。

こちらも集団授業の場合が大多数です。資格は必須ではありませんが、(1)と同様の資格が求められることもあります。

(4)日本の公教育(小学校~高校)

例えば日本人と外国人の間に生まれた子ども、両親とも外国人だが親の仕事の都合で日本に住んでいる子ども、両親とも日本人だが海外で生活してきた子どもなどは、日本語教育が必要な場合が多いです。

そのような場合は、公教育で日本語指導(支援)が行われています。

ブラジルやフィリピン、中国などの人が多くいます。

ただ、このような人の日本語学習を支援する人材はあまり多くないため、人手不足の解消が求められています

公教育での日本語教育は、少人数集団授業の場合もありますが、個別に取り出し授業(他の人が通常授業を受けている間に、別室で個別指導)になる場合も多いです。

(1)と同様の資格や、教員免許が求められます。

(5)日本語ボランティア

各地域の国際交流センターやボランティア団体、日本語教師養成講座などでは、地域に住む外国人のために日本語を教えるボランティアを募集しているところがあります。

何らかの事情で日本語学校に通えない人や、個人での日本語学習を希望する人などは、このような場で日本語を学んでいます。

ボランティアでの日本語学習の場合、多くは1対1で行われます。教えるのに資格が求められることは稀です。

(6)オンラインプラットフォーム

セクション3のところでも説明したとおり、日本語教育の業界にもオンライン授業のノウハウが浸透し、外国人学習者にとっても、オンライン授業が受けやすい環境になりました。

特に海外で日本語を学んでいる人にとっては、手軽に日本人教師に教えてもらえるので、オンラインで日本語を学ぶ人が多くなっています。

こちらもボランティアと同様、1対1が主流です。資格は必須ではありません。

(7)企業や研修で学ぶ

令和4年10月に行われた厚生労働省の「『外国人雇用状況』の届出状況」によると、国内の外国人労働者数は約180万人に上ります。

ただし、日本で働いているからといって、必ずしも日本語がペラペラであるとは限りません。

そのため、企業内で日本語を学ぶための研修が行われたり、日本語教師が雇われて、就労前に一定の間日本語を学んだりする場合もあります。

こちらは集団授業が多いです。

資格は必須ではありませんが、(1)と同様の資格が求められることが多くなっています。

(8)自宅やカフェで学ぶ

プライベートレッスンの場合は、自宅やカフェ等が授業の場になります。

・自分のニーズに合った勉強がしたい
・自分のペースで勉強を進めたい
・会話練習がしたい
・集団授業が苦手

など、様々な理由があります。

こちらは言うまでもなく1対1が主流です。

ただ、友達と、家族となど、2対1のプライベートレッスンを受けている学習者もいます。

資格は不要です。

7.で、外国人に日本語を教えるコツは?

ここまで外国人に日本語を教える方法や教材、場所などを紹介してきました。

でも、

「おれが知りたいのは、外国人に日本語を教えるコツなんだよ」
「私は外国人にも分かりやすい話し方が知りたいの」

という人も多いと思います。

そこで、このセクションでは、簡単にそのコツをまとめるとともに、より詳しく知りたい方におススメの記事を紹介します。

(1)外国人に伝わる話し方を意識する

相手は「外国人」で、日本語を「勉強している」人です。

当然、日本人を相手にしたときと同じような会話の仕方では、コミュニケーションに支障をきたしてしまいます。

外国人に伝わりやすい話し方を身につけたい人は、まず以下の6つのポイントを実践してみてください

・できるだけ短い文で話す
・接続詞を強調しながら話す
・できるだけ直接的・具体的に話す
・カタカナ語を多用しない
・漢語はできるだけ避ける
・文字や写真を見せながら話す

これだけで、外国人にもグッと伝わりやすい日本語になります

それぞれの項目を具体的にどうやって実践するかが知りたい方は、こちらの記事で詳しく解説しているので、ぜひ読んでみてください。

(2)「なぜ日本語が勉強したいのか」「どうなりたいか」を明確にする

これは日本語教育に限ったことではないですが、始める前に目標を明確にしていないと、途中でモチベーションが落ちたり、やりがいを見失ったり、教師と学習者の思いがズレて、不満が生じたりします。

そうならないように、教え始める前に、日本語を勉強する理由と、最終的にどうなりたいのかをインタビューしておきましょう。

日本語学習の動機には、次のようなものがあります:

【国内在住者】
・日本の大学や専門学校に進学したい/日本企業に就職したい
・日本人のように会話できるようになりたい
・生活に必要な日本語が身につけたい
・日本語で読書したり、マンガを読んだりできるようになりたい
・日本語能力試験(JLPT)に合格したい
・病院や区役所の手続きや、色々なサービスの申し込み等が自分でできるようになりたい
など

【海外在住者】
・マンガやアニメなどを日本語で楽しみたい/より深く理解したい
・日本に留学する前に基礎的な日本語を身につけたい
・日本人と交流したい/日本人の友達がほしい
・日本に旅行したときに、日本語でのコミュニケーションに挑戦したい
など

ここに挙げたものだけでも、多様な動機があることが分かると思います。

それぞれの目的によって、最適な授業形態、教材、練習の仕方は異なるので、よく話し合って方向性を決めていくことが大切です。

1対1で授業をしている場合は、学習者に都度目標や勉強したいこと等を確認しながら、途中で変更するのも◎です。

外国人学習者のことをもっと理解したい方は、以下の記事を併せて読んでみてください。

・外国人と話すときに注意すべき点

・外国人の心を開くコツ

・外国人からよく聞かれる質問ベスト5

(3)常に学習者主体で授業を進めることを意識する

日本語「教師」とは言いますが、大学の講義のように一方的に知識を与えるだけでは、多くの学習者が求めている「日本語が使えるようになりたい」という目標に到達することはできません。

学習者の発話量を多く確保することを意識しながら、授業を進めてみてください。

「教師は、指示と訂正以外はほとんど喋らない」ぐらいのスタンスでもいいと思います。

よく文法や語彙の説明を、ドヤ顔で長々としている日本語教師がいますが、そのときの学習者の顔は大抵生気が抜けています。

学習者が求めているのは、「なるほど~」と思うような豆知識でも、物知りな先生の雑学披露パフォーマンスでもなく、分かりやすくて短い説明と豊富な練習機会です

分かりやすく、簡潔に説明するコツについては以下の記事でも解説しているので、読んでみてください。

・初出の文法を教えるときのポイントとコツ

・中級文法を教えるときのコツ

また、文法や語彙の説明がうまくなりたい人にオススメの本は、こちらの記事にまとめてあります。

こちらも併せてどうぞ。

・手元にあれば文法や語彙の説明が上手くなる本

まとめ

いかがでしたか。

かなり長くなりましたが、「外国人に日本語を教える」ということについて、少し分かっていただけたでしょうか。

外国人への日本語教育について、基本的な部分はある程度この記事で整理できたのではないかと思います。

これ以外に「外国人に日本語を教える」ことについて(それ以外でも)記事にしてほしい内容があれば、X(Twitter)のDM等で、お気軽にリクエストください。

皆さまの参考になれば幸いです。

ではまた次回。

オススメの記事はこちら↓

新人日本語教師におすすめの本はこちら↓

日本語教師×ICTに特化した本はこちら↓

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