日本語教師になるなら持っておいた方がいい本って、何かあるのでしょうか。
日本語教師になったばかりの人、また日本語教師にこれからなろうという人にオススメしたいのが、文法書か文型辞典を1つ持っておくことです。
先日の調査でも文型シラバスの教科書を使っている学校はまだまだ多いことが分かりましたし、場面シラバスの教科書を使っていたとしても、文法のルールや特徴をしっかり理解し、説明できる力は不可欠だからです。
文型辞典がないと、授業で教える文法を調べるのに時間がかかったり、たくさん時間をかけて調べた情報が間違っていて、学習者の信頼を失ってしまったりすることもあります。
これから紹介する文型辞典や文法書は、困ったときにさっと見ればすぐに疑問を解決してくれる優れものです。
私も新人の頃はかなりお世話になりましたし、今も日本語教師の支持が厚いものを厳選しました。
何より、「どんなところを見れば、文法の特徴やルールが分かるのか」を考える視点が身につくので、その後の成長の大きな助けになること請け合いです。
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1. “生きた”例文で学ぶ 日本語表現文型辞典/アスク出版
N4からN1レベルの文型が幅広くカバーされています。
それぞれの文型に会話ダイアログが収録されていて、場面と一緒に接続や制限がまとめられています。例文は1文型につき6つ前後と豊富です。
種々の文法書などと比べて文末の制限が多く説明されているので、3年目ぐらいまでは私もよく使用していました。文法ルールを見つけるコツを、この本にたくさん教えてもらいました。類似文型がどのページに載っているかも記載されているので、違いを調べたり、学習者からどんな質問がくるかを予測したりするのにも役立ちます。
文型数 :★★★★☆
解説量 :★★★★☆
読みやすさ:★★★★★
【ポイント】
◎会話ダイアログと豊富な例文
◎文末などの文法ルールへの言及が多い
◎類似文型がどのページに載っているか一目で分かる
2. 新装版 どんなときどう使う 日本語表現文型辞典/アルク
この本は初級からN1まで幅広いレベルの文型が網羅されています。
文型の量が多いので、その分前後件制限の説明はやや少なめですが、接続等の基本ルールについては全文型について載っています。
幅広くいろんな文型について知識を身につけたい人向け。たまに図もあったりします。
日本語学校で扱う文型は大抵掲載されているので、これを家に置いておけば、さっと調べることができてとても便利です。
文型数 :★★★★★
解説量 :★★★★☆
読みやすさ:★★★★★
【ポイント】
◎カバーされている文型がかなり多い
◎接続等の基本ルールは全掲載
◎幅広く多くの文型の知識を得たい人向け
3. 教師と学習者のための日本語文型辞典/くろしお出版
N3以上の文型が幅広く収録されています。
解説が多い文型と少ない文型の差は少しありますが、例文も多く、かなりの量の情報が載せられています。2. と比べると、文法書のような丁寧な解説という感じ。
日本語教師が探すであろう文型はほぼほぼ載っていて、どの文型についても、何らかのヒントが得られる本です。
文型数 :★★★★★
解説量 :★★★★☆
読みやすさ:★★★★☆
【ポイント】
◎とにかく豊富な例文と文型
◎情報量が多く、丁寧な解説が印象的
◎日本語教師が扱う文型はほとんど網羅されている
2023年6月に、初級文型が追加され例文等もブラッシュアップされた改訂版が発売されました。
副詞や接続表現の収録量も増えています。
初級文型が追加された点はかなり大きい。さらに幅広い層にとって使いやすいものになっています。
4. 初級を教える人のための日本語文法ハンドブック/スリーエーネットワーク
初級の文法について、基礎知識を増やし土台を固めたいなら迷わずコレ。
文型辞典というよりは文法書っぽい感じですが、初級で扱われることの多い文法表現の多くが例文付きで解説されているし、説明も詳しいです。
「これだけは」という教えるときに必須の項目
「もう少し」という知識としては持っておいたほうがいい部分
「もう一歩進んでみると」というさらに詳しい解説
に分かれていて、必要な部分だけ選択して読むことができます。
新人の頃、私が「これが知りたい」と思っていた部分は、「もう少し」や「もう一歩」の部分でかなり解決しました。
新人~5年目ぐらいの先生には、かなり役に立つ本だと思います。
文型数 :★★★★☆
解説量 :★★★★★
読みやすさ:★★★★★
【ポイント】
◎詳しい初級文法解説
◎解説が3つにレベル分けされていて読みやすい
◎初級文法の土台づくりに適性◎◎
5. 中上級を教える人のための日本語文法ハンドブック/スリーエーネットワーク
4. の中上級版になっていて、指示詞や待遇表現、複文、とりたて、接辞など、様々なカテゴリに分けて詳しく解説されています。
私は4. と併せて、日本語教師になりたての頃に購入しました。
文法とイントネーションやプロミネンスとの関係など、音声についても一部解説があり、経験を積んでからも色々と活躍する場面が多い本です。
中級〜上級で扱われる文法を教えるための基礎を築くならコレです。
文型数 :★★★★☆
解説量 :★★★★★
読みやすさ:★★★★☆
【ポイント】
◎中級・上級の基礎を築きたい人へ
◎様々なカテゴリの詳しい解説を掲載
◎経験を積んでからも長く役に立つ良書
6. くらべてわかる日本語表現文型辞典/Jリサーチ出版
この本のいいところは、最初から文型を対比する形で解説が展開されているところです。
類似文型が同じ文脈で使われたときに「◯」か「×」かが示されていて読みやすいです。
文脈制限の違いを見極めるポイントもたくさん知れます。
この本は例文(文脈的に成立する文としない文)を載せながら、各文型の違いを解説しているので、学習者からよく質問される類似文型との違いがとても分かりやすいですし、学習者にどう説明するかもイメージしやすくなると思います。
一つ注意しておきたいのは、この本に掲載されているのは、ほとんどがN3以上の文型だということです。中級〜上級を教える人には超オススメ。
※追記 2022年に初級編、初中級編もリリースされました。
文型数 :★★★★☆
解説量 :★★★★☆
読みやすさ:★★★★★
【ポイント】
◎最初から類似文型を比較する形のページ構成
◎非文を示しながら前後件の文脈制限を解説
◎初級〜上級までの文法分析の悩みを幅広く解決
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…いかがでしたか?
これ以外にも、様々な文法解説書や文型辞典はありますが、この6つは多くの日本語学校にも置いてあるし、日本語教師の支持も厚い本です。
文法分析に時間がかかってしまう人、類似文型がうまく説明できない人は必読。自分の担当するクラスのレベルに合った文法書・文型辞典があれば、一気に文法分析作業の時間が短縮できるはず。
どの本も実際に、私のこれまでの授業準備の中でも大きな助けになってくれているので、自信を持ってオススメできます。
皆さんも、自分に合った「相棒」をぜひ見つけてみてください。
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