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日本語教師の新しい国家資格「登録日本語教員」は、どうすれば取れるのでしょうか。
また、現職者にはどんな経過措置や資格取得ルートがあるのでしょうか。
2024年に創設された日本語教師の新たな国家資格、登録日本語教員。
「国家資格に係る制度や資格取得ルートが複雑で、何から始めればいいか分からない…」
と悩んでいませんか?
この記事を読めば、登録日本語教員の制度や資格取得ルートの基本が把握でき、押さえておくべきポイントや、日本語教師を目指す人がやるべきことが分かります。
なお、この記事の情報は、文化庁や文部科学省の最新の公式発表資料に基づくものです。
また、公式資料が複雑で分かりにくい部分は、十数年の日本語教師経験を持ち、この国家資格に関する省庁の会議を約1年前から追ってきた筆者が、嚙み砕いて解説します。
初めて日本語教師や登録日本語教員の資格について学ぶ人も、理解しやすいように書いているので、ぜひ最後まで読んでみてください。
筆者についてはこちら↓
※この記事の内容は、下記の法律や文化庁・文部科学省発表資料に基づく、更新日時点での最新情報です。
【法律・規程関係】
・日本語教育の適正かつ確実な実施を図るための日本語教育機関の認定等に関する法律
・同法律施行令
・同法律施行規則
・認定日本語教育機関認定基準 など
【その他資料】
・登録日本語教員の登録申請の手引き
・日本語教育機関認定法今後のスケジュール
・日本語教育機関認定法よくある質問集 など
【参照ウェブサイト】
・日本語教育|文化庁
・文化審議会国語分科会|文化庁
・日本語教育小委員会|文化庁
・日本語教育|文部科学省 など
✓登録日本語教員の資格はいつから取れるの?
✓登録日本語教員になるには何が必要なの?
✓どんな資格取得ルートがあるか知りたい!
✓現職日本語教師の経過措置について知りたい!
1. 登録日本語教員は日本語教師の新しい国家資格!
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登録日本語教員とは、2024年4月に新しく創設された日本語教師の国家資格です。
この資格は、文科省が2024年から新たに認定する「認定日本語教育機関」で働くために必要になります。
日本語教育機関がこの認定を取るかどうかは任意ですが、留学生を受け入れるためには認定の取得が基本的に必須です。
そして、認定日本語教育機関で働く日本語教師は、登録日本語教員でなければならないという条文があります(日本語教育機関認定法第7条)。
そのため、留学生を受け入れている日本語教育機関で日本語教師として働くには、実質的にこの資格の取得が必須ということになります。
なお、認定の対象は日本国内の日本語教育機関であり、海外の大学や日本語学校等は対象ではないので、海外で働く日本語教師の場合、この国家資格の取得は必須ではありません。
また、オンライン日本語教師や、地域の日本語教室・企業等で働いている日本語教師も、特にこの資格の取得が求められることはありません(今のところ)。
とはいえ国家資格なので、この新しい登録日本語教員の資格が、今後日本語教師の一定の水準を証明するスタンダードとなっていくことは間違いありません。
いずれは認定日本語教育機関以外でもこの資格が求められたり、国家資格保有者とそれ以外で、待遇面の差別化が図られたりする可能性は十分あるでしょう。
2. 登録日本語教員の制度は2024年から既に始まっている!
![](https://nihongo-base.com/wp-content/uploads/2023/05/new-way-for-teachers-1024x601.jpg)
実はこの登録日本語教員の資格に係る制度は、2024年4月から既に始まっています。
2023年5月に成立した「日本語教育機関認定法」が2024年4月に施行されたからです。
これに伴い、日本語教育機関や日本語教師養成課程の認定制度が4月から始まり、文科省や文化庁、そして各日本語教育機関は既に動き出しています。
登録日本語教員についても、この資格の取得に必要な「日本語教員試験」が2024年の11月に行われることになっており、その準備が進んでいます。
夏ごろには、この試験の出願が始まります。
なお、法務省告示校で働く資格を持つ人は、法律の施行から5年間(2029年3月31日まで)は、登録日本語教員の資格を取らなくても、告示校や認定日本語教育機関で働けます(条件や例外あり)。
そのため、制度が始まったからといって、すぐに資格を取得しなければ日本語教師として働けなくなるということはありません。
3. 資格取得には日本語教員試験の合格と実践研修の修了が必要
![](https://nihongo-base.com/wp-content/uploads/2023/06/examination-002-1024x682.jpg)
登録日本語教員になるには、以下の2つの課題のクリアが必要です。
①2つの日本語教員試験に合格する
②実践研修を修了する
この2つの課題について、簡単に解説します。
(1)日本語教員試験は2024年から始まる国家試験!
日本語教員試験は、2024年から始まる登録日本語教員のための新たな国家試験です。
登録日本語教員を目指す人は、多くの場合受験が必須となります。
日本語教員試験には、基礎試験と応用試験の2つの試験があり、それぞれに合格する必要があります。
なお、JEES等によって行われている「日本語教育能力検定試験」とは全く別の試験です(出題範囲はほぼ同じ)。
日本語教員試験には、特に受験資格がありません。
国籍や年齢、学歴の制限もないので、幅広い層がチャレンジできます。
第1回の試験は、2024年11月17日(日)に予定されています。
この試験については、こちらの記事で詳しく解説しています。
試験内容や難易度、対策テキストなどが知りたい方は、併せて読んでみてください。
(2)実践研修は現行の日本語教師養成課程の「教育実習」を踏襲
実践研修とは、実際に外国人学習者に日本語の授業を行う研修です。
内容は、これまでの日本語教師養成課程で行われてきた「教育実習」を踏襲したものになっています。
実践研修では、受講者1人につき、45分×2回の授業を行うことが義務付けられています。
なお、この実践研修は、2024年から文科省に認可される「登録実践研修機関」、または国だけが実施できます。
正式な実践研修は、2024年末頃から始まる予定です。
実践研修については、こちらの記事で詳しく解説しています。
研修内容やポイント等が知りたい方は、併せてご覧ください。
4. 正規の資格取得ルートは3通り。養成課程修了で基礎試験が免除に
![](https://nihongo-base.com/wp-content/uploads/2023/11/登録日本語教員正規ルート確定1106-1024x722.png)
上述の通り、登録日本語教員の資格取得には、日本語教員試験の合格と実践研修の修了が必要ですが、正規の資格取得ルートは、以下の3通りあります。
(1)試験ルート(図の右)
(2)養成機関ルート2(図の中)
(3)養成機関ルート1(実践研修を一体的に受講)(図の左)
※便宜上、図の右側から並べています
(1)は試験ルート、(2)(3)は養成機関ルートと呼ばれます。
試験ルートは、上で紹介した課題をすべてクリアしていくルートです。
対して養成機関ルートの最大の特徴は、文科省の確認を受けた「登録日本語教員養成機関」の課程を修了することによって、日本語教員試験の基礎試験が免除されることです。
登録日本語教員養成機関とは、こちらも2024年から文科省によって新たに審査・確認される機関です。
これまでの日本語教師養成講座のようなものですが、教育実習の部分は除かれています。
3つのルートについて、順に解説します。
(1)試験ルート(図の右側)
↓
応用試験合格
↓
実践研修修了
↓
登録日本語教員
上図の右側に示されている試験ルートは、3つの課題を順番にクリアしていく、最もシンプルなルートです。
基礎試験と応用試験の合格後、実践研修を修了すると、登録日本語教員になれます。
(2)養成機関ルート2(図の真ん中)
↓
基礎試験免除
↓
応用試験合格
↓
実践研修修了
↓
登録日本語教員
上で説明した通り、登録日本語教員養成機関の課程を修了すると、日本語教員試験の基礎試験が免除されます。
つまり、応用試験と実践研修をクリアすれば登録日本語教員への道が開けるということです。
(3)養成機関ルート1(図の左側)
及び実践研修修了
↓
基礎試験免除
↓
応用試験合格
↓
登録日本語教員
図の左側の養成機関ルート1は、登録日本語教員養成機関の課程と実践研修を、1つの機関でまとめて受講・修了するルートです。
当該機関が、登録日本語教員養成機関と登録実践研修機関の両方の認可を持っている場合に、このルートを通ることが可能になります。
これまでの日本語教師養成講座(420時間)と最も近い形で、養成課程と実践研修がまとめて受けられます。
養成機関ルート2(図の真ん中)との違いは、実践研修を受講するタイミングです。
登録日本語教員をゼロから目指す場合、以上3つの正規ルートからルートを選択することになります。
試験ルートは基本的に独学で試験に臨むことになるので、難易度は高めですが、自由度は高く、費用も安く抑えられます。
養成機関ルートは、数十万の費用が必要(セクション6で後述)になりますが、日本語教員試験が1つ免除になるのはかなり大きいでしょう。
この辺りのメリット・デメリットと自分の能力・状況を考えてルートを選ぶことが大切です。
5. 現職者には5年間、6つの経過措置ルートが用意されている
![](https://nihongo-base.com/wp-content/uploads/2023/10/particle-no-1024x682.jpg)
現職の日本語教師や、現在日本語教師養成講座を受講中の人には、2029年3月31日までの5年間に限り、6つの特別な経過措置ルートが用意されています。
各経過措置ルートの具体的な要件について詳しく解説していくので、自分がどのルートに当てはまるか確認してみてください。
なお、ここで言う現職者・現職日本語教師とは、以下に該当する人のことを指します。
これは、文科省の「登録日本語教員の登録申請の手引き(以下「手引き」)」に記載されています。
①平成31(2019)年4月1日〜令和11(2029)年3月31日の間に法務省告示機関、国内の大学、認定日本語教育機関、文部科学大臣が指定する機関で日本語教員として1年以上勤務した者
②1年以上の勤務とは、当該機関において1年以上雇用期間があり、平均して週1回以上、日本語教育課程の授業を担当していた場合を指す(無報酬でも可)
③ただし、主任教員として日本語教育課程の編成や管理の業務を主たる業務としていた場合には、それ以下でも経験に含めることができる
④複数の機関での経験を合計して1年以上となる場合でもOK
「現職者」の要件をご理解いただけましたか?
では、各経過措置ルートを順に見ていきましょう。
![](https://nihongo-base.com/wp-content/uploads/2023/11/経過措置確定1106-1024x723.png)
(1)Cルート(必須50項目対応済の養成課程修了)
【通れる人】
・必須50項目に対応済と文化庁が確認した日本語教師養成課程を修了
・学士以上の学位を保有
※現職者要件不要
【課題】
・応用試験合格
このルートは、日本語教師養成課程における必須の教育内容50項目、通称「必須50項目」を満たしていると文化庁が確認した課程を修了した人が通れます。
こちらのページの「5. 確認結果」にある「必須の教育内容50項目に対応した日本語教員養成課程等の一覧」に記載されている課程を、記載されている期間に修了した人が対象です。
Cルートは、学士以上の学位が必要である点に注意が必要です。
ただ、このルートは経過措置ルートの中で唯一、現職者要件が不要です。
また、このルートのみ、経過措置期間が2033年3月までの9年間となっています。
つまり、これから受講する場合にも使えます。
このルートは基礎試験と実践研修が免除され、応用試験にさえ合格すれば、登録日本語教員への道が開けます。
正規ルートよりも早く受講が始められ、多くの免除が受けられます。
(2)D1ルート(平成12年報告対応済の養成課程修了)
【通れる人】
・平成12年報告に対応済と文化庁が確認した日本語教師養成課程を修了
・学士以上の学位を保有
・現職者である
【課題】
・応用試験合格
・経験者講習Ⅱを修了
このルートは、同じく日本語教師養成課程における教育内容の基準の1つである「平成12年報告」に対応した養成課程の修了者が通れます。
こちらのページの「5. 確認結果」にある「平成12年報告に対応した日本語教員養成課程等の一覧」に記載の課程を、記載の期間中に修了した人が対象となります。
ただし、このルートは、学士以上の学位が必要な上に、現職者しか通れません。
また、基本的にCルートと同様の免除が受けられますが、そのためには経験者講習を修了する必要があります。
経過措置D、Eルートを通る現職者は、免除等を受けるために「経験者講習」を受講し、修了する必要があります。
講習には、ⅠとⅡの2種類があります。
・D1、またはE2ルートを通る場合… 講習Ⅱのみ
・D2、またはE1ルートを通る場合… 講習Ⅰ・Ⅱ
の受講が必要です。
■講習Ⅰ…
・平成12年報告(必須50項目の前身)から追加された「社会・文化・地域」と「言語と心理」の2区分の内容が中心
・90分の5コマ+講習修了認定試験(10問程度)
■講習Ⅱ…
・必須50項目から追加されたICTや著作権、また、入管法改正や「日本語教育の参照枠」など最近の状況変化に関する知識が中心
・90分の10コマ+講習修了認定試験(20問程度)
この研修はどちらもオンデマンド形式で行われ、経過措置期間中は、任意のタイミングで受講できます(修了に関する条件あり。手引き、よくある質問集参照)。
試験合格者には修了証明書が発行されます。
講習修了認定試験は、おそらく講習の内容を確認する程度の試験で、あまり難易度は高くないことが予想されます。
講習の受講料は、以下の通りとなっています。
講習Ⅰ… 8,800円
講習Ⅱ… 17,600円
両方受講する場合は、26,400円です。
講習は2024年の11月から受講可能になる予定です。
(3)D2ルート(C、D1ルート対象以外の養成課程修了)
【通れる人】
・C、D1に該当しない日本語教師養成課程を修了
・学士以上の学位を保有
・現職者である
【課題】
・応用試験合格
・経験者講習Ⅰ・Ⅱを修了
CルートにもD1ルートにも該当しない日本語教師養成課程の修了者は、このルートが通れます。
ただし、このルートもD1と同様、現職者要件と学士以上の学位が必要です。
このルートも、CやD1ルートと同様、基礎試験と実践研修が免除になりますが、経験者講習のⅠとⅡを両方修了する必要があります。
(4)E1ルート(2002年までの日本語教育能力検定試験合格)
【通れる人】
・1987~2002年までの日本語教育能力検定試験に合格
・現職者である
※学位要件不要
【課題】
・経験者講習Ⅰ・Ⅱを修了
このルートは、1987年~2002年の間に行われた日本語教育能力検定試験の合格者が通れるルートです。
現職者要件は必須ですが、学士以上の学位は不要です。
このルートの選択者は、経験者講習のⅠとⅡを修了することによって、基礎試験、応用試験、そして実践研修の全てが免除されます。
(5)E2ルート(2003~2023年の日本語教育能力検定試験合格)
【通れる人】
・2003~2023年の日本語教育能力検定試験に合格
・現職者である
※学位要件不要
【課題】
・経験者講習Ⅱを修了
2003年~2023年の間に行われた日本語教育能力検定試験の合格者が通れるのがこのE2ルートです。
E1と同様、現職者要件は必須で、学士以上の学位は不要です。
E2ルートの場合、講習Ⅱを修了するだけで全ての免除が受けられます。
検定に合格した年度の違いによって、受講が必要な講習の数が変わってくるということです。
なお、2024年以降の日本語教育能力検定試験は、この対象とならないので注意してください。
(6)Fルート(その他の現職日本語教師)
【通れる人】
・現職者である
※学位要件不要
【課題】
・基礎試験合格
・応用試験合格
C~Eのいずれのルートにも該当しない現職者は、このFルートが通れます。
Fルートを通るために満たす必要があるのは現職者要件だけで、学士以上の学位は不要です。
このルートは実践研修のみ免除となり、2つの日本語教員試験は受験・合格が必須となっています。
以上が現職者、日本語教師養成課程を受講中の方向けの経過措置ルートです。
登録日本語教員の資格取得を目指す人は、自分の当てはまるルートを確認し、経過措置期間中にこれを活用しましょう。
6. 登録日本語教員になるための費用は2万円台から
![](https://nihongo-base.com/wp-content/uploads/2023/10/lecture-3986809_1280-1024x682.jpg)
登録日本語教員になるために必要な試験や研修は有料です。
また、登録日本語教員として登録を受ける際にも、4,400円の登録料が必要です。
費用が最も安いのは、経過措置のCルートで、2万円台前半で資格が取得できます。
以下にルートごとに必要な費用をまとめたので、参考にしてみてください。
![](https://nihongo-base.com/wp-content/uploads/2024/04/seminar-2-コピー.png)
【ルートごとの費用概算】
正規養成機関ルート… 21,700円+養成課程受講料
正規試験ルート… 74,200円
経過措置ルート… 20,000~50,000円程度
経過措置ルートが最も安く、2万円~5万円程度、次いで試験ルートが7万円台となっています。
養成課程の受講料は、現行の講座と同程度であれば、40万~70万位が相場です。
ただし、教育実習の部分は実践研修として分離するので、その分養成課程が少し安くなる可能性はあります。
実践研修と一体的に受講する場合は、現行講座と大差ないでしょう。
注意しておきたいのは、実践研修の50,900円というのは、国が実施した場合の金額だということです。
今後認可されることになる「登録実践研修機関」が実施する場合、機関によって料金が変わってくるので、試験ルートも、この金額より高くなる可能性があります。
なお、日本語教員試験の受験料について詳しく知りたい方は、こちら↓をご覧ください。
ちなみに、登録日本語教員の資格は毎年更新制という話が出回ったことがありますが、そのような事実はありません。
登録料の4,400円はあくまで登録時に1度だけ支払うものです。
7. 具体的な資格取得プロセスは8月頃からスタート
![](https://nihongo-base.com/wp-content/uploads/2023/12/calendar-1990453_1280-1024x682.jpg)
私たち個人の具体的な国家資格取得フローがスタートするのは、2024年の8月頃からです。
どのような流れで進んでいくのか、資格取得に係るスケジュールと申請方法を見ておきましょう。
(1)2024年の具体的なスケジュール
![](https://nihongo-base.com/wp-content/uploads/2024/04/schedule0425.png)
まず、2024年3月に、経過措置C及びD1ルートの対象となる日本語教師養成課程が、こちらのページで発表されています。
なお、5月まで追加募集が行われていたため、今後対象課程が増える見込みです。
4月には日本語教育機関認定法ポータルがオープンしています。
登録日本語教員の登録申請は、こちらのサイトから行うことになります。
日本語教員試験の受験申し込みは、文科省ウェブサイトに掲載されている実施要項によると、8月上旬~9月上旬の間に、オンラインで受け付けられるとのことです。
なお、上の図では経験者講習の受講開始時期も夏頃となっていますが、こちらは文科省ウェブサイトのFAQ(よくある質問集)に更新があり、11月1日から受講開始に変更になっています。
11月17日には第1回の日本語教員試験が行われます。
12月中旬頃には日本語教員試験の合格発表が行われます。
同じ頃に、登録実践研修機関の認可が下り、実践研修が始まるものと見られます。
その後年度内には登録日本語教員の登録が始まります。
(2)登録日本語教員の登録申請はポータルサイトから
登録日本語教員の登録は、4月にオープンしている日本語教育機関認定法ポータルから行います。
現在すでにアカウントの作成が可能になっています。
細かい登録方法は、こちらの図で文科省から示されています。
![](https://nihongo-base.com/wp-content/uploads/2024/04/application0425.png)
この図を簡単にまとめると、以下のような流れになります。
①ポータルサイトでアカウントを作成
②申請ページで情報を入力
③登録手数料(4,400円)を支払い
④印刷した申請書と、必要な証明書類を郵送
⑤文科省による提出書類の確認
⑥登録日本語教員の登録証の交付
必要書類は、登録日本語教員の要件を満たしたルート、経過措置の利用の有無などによって異なります。
具体的には、日本語教員試験や日本語教育能力検定試験の合格証、日本語教育機関の在職証明書、養成課程の修了証などです。
詳しい情報は、手引きをご覧ください。
8. 現状、登録日本語教員の資格取得のメリットは不明瞭
![](https://nihongo-base.com/wp-content/uploads/2023/05/salary-of-teachers-1024x682.jpg)
先に述べたとおり、国内の認定日本語教育機関で日本語教師として働く人は、いずれこの国家資格が必要になるため、メリットがあってもなくてもこの資格を取らなければなりません。
では、認定日本語教育機関で働けること以外にメリットがあるのかというと、それは正直微妙なところです。
強いて挙げるなら、従来の日本語教師の3資格よりも専門性等が認められやすくなり、その結果として社会的地位が向上したり、認知度が上がったりする可能性があることです。
ただ、もしそれが実現されたとしても、それによって日本語教師の待遇が大きく改善する未来は、今のところ(僕には)見えません。
日本語教師になるためのハードルが上がるだけで、現行資格との差別化が図れるのかも疑問です。
制度が始まり、登録日本語教員の認知度が上がれば、認定日本語教育機関以外でもこの資格を持つ人が求められたり、従来の日本語教師資格を持つ人と給料等の面で差別化が図られたりする可能性もあります。
ただ、現時点では、告示校等で働く日本語教師にとって、国家資格の取得は「現状を維持する方法」でしかありません。
この部分に私自身も大きな疑問を感じています。
大きな労力と時間、お金をかけて得られるものが今と同じ職場と仕事なら、国家資格である必要がないからです。
告示校や認定日本語教育機関と無縁の人も、多くが「自分の経験が現職者経験として認められないなら、わざわざ取る必要のない資格」と考えている人が多いと思います。
現職者を維持し、新規や復帰勢の流入を増やすためには、国家資格取得者がもっとメリットを感じられる施策が必要だと思います。
また、制度の効果を定期的に評価し、必要に応じて改善を行う体制作りも重要です。
日本語教育の現場からのフィードバックを積極的に取り入れる仕組みづくりが求められます。
9. 登録日本語教員を目指すのはいつからでもいい
![](https://nihongo-base.com/wp-content/uploads/2023/05/study-japanese-teacher-1024x682.jpg)
「じゃあ、いつから日本語教師を目指すのがベストなの?」
という疑問を持つ人も多いと思います。
結論から言えば、これは「いつでもいい」というのが答えです。
経過措置等が用意されているおかげで、現行の日本語教師養成講座の受講が無駄になることはありません。
また、養成講座の受講時期や、日本語教員試験の受験時期によって、資格取得の難易度が変わる可能性も考えにくいです。
だから、自分のタイミングに合わせて、登録日本語教員になるための準備を始めれば特に問題はありません。
自分のペースで情報を収集し、必要な準備を整えましょう。
なお、「いつでもいい」とはいえ、「どんな人が」「いつから」行動を始めるかによって、注意点とポイントをまとめたので、よければ参考にしてみてください。
(1)これからすぐに養成課程を受講する人→経過措置Cルート対象課程を選択
これから養成課程の受講を始める人は、必ず経過措置Cルートの対象になっている講座を受講するようにしてください。
もし受講した講座がCルートの対象でなければ、D1やD2ルートを通ることになるため「現職者」の要件も必要になるからです。
そうなると、講座の修了後、さらに1年間日本語教育機関で働かなければ、登録日本語教員の資格が取れなくなります。
なお、日本語教員試験は、一定の条件はあるものの、養成課程を「修了見込み」でも受験できることは覚えておきましょう(諸条件あり、手引き、よくある質問集参照)。
(2)未経験者ですでに養成課程を修了した人→経過措置Cルート対象か確認
すでに養成課程を修了したものの、まだ日本語教師の経験がないという人は、修了した課程が経過措置Cルートの対象かどうかで判断しましょう。
Cルートが通れる場合は、必要なのは応用試験の合格だけなので、それに向けて準備を進めることをお勧めします。
その間に日本語教師経験が積めれば、さらに◎です。
修了した課程がCルートの対象でない場合は、1年の経験を積んでから登録日本語教員を目指すことをお勧めします。
そうすることによって、養成課程の修了を無駄にせず、経過措置ルート(D1またはD2)が通れるようになります。
それと並行して2024年の試験にチャレンジしてみるのも良いと思います。
なお、現職者として認められるためには「法務省告示校、国内の大学(条件あり、手引き参照)、認定日本語教育機関、文部科学大臣が指定する機関」で、平均週1回以上、1年間働いた経験が必要です。
「働いたのに対象外」とならないよう注意しましょう。
(3)未経験で既に日本語教育能力検定試験に合格している人→現職者要件をクリアする
未経験で既に日本語教育能力検定試験に合格している人には、(2)よりもさらに強く、1年間の日本語教師経験を積むことをお勧めします。
すでに検定に合格していて日本語教師経験がない人は、平成15年(2003年)以降に合格した人がほとんどだと思います。
そのため、1年間、週1回の日本語教師経験を積むだけでE2ルートを通ることが可能になり、実質的に全フローの免除が受けられます。
これを活かさない手はありません。
ただし、経過措置E2ルートの対象となるのは、2023年の日本語教育能力検定試験までです。
2024年以降の日本語教育能力検定試験は経過措置の対象とならないので注意してください。
(4)既に現職者の要件を満たしている人→いつでもいい
既に現職者の要件を満たしている人は、5年間の経過措置の間にどうするか考えれば良いと思います。
つまり「いつでもいい」です。
現職者で2023年の日本語教育能力検定試験を受けた人は、最も簡単なE2ルートが開けるので、素晴らしい判断だったと思います。
ただ、2024年以降の検定を受けても経過措置対象にはならないし、それ以外の経過措置要件はすぐに満たせるものではありません。
だから、5年の間に自分の今後の生活やキャリアプランを考えた上で、「なりたいときになる」のがベストだと個人的には思います。
資格取得時期によって給料が大きく変わるということも想定しにくいです。
5年間働いたら告示校や認定日本語教育機関でのキャリアは終えるという人も少なくないでしょう。
(5)現職者要件が満たせない現職者→無理に資格を取る必要はない
「海外で日本語教師経験を積んできた」
「企業やオンラインで、フリーランスとして教えている」
など、今回の経過措置の現職者要件の対象外となる経験を積んでいる日本語教師の人は、これまでの経験で今の働き方を確立したのであれば、無理にこの国家資格を取る必要はないと思います。
ただ、国家資格化をきっかけに認定日本語教育機関に移りたい人や、日本語教師としての復帰を目指したい人もいるでしょう。
そのような場合は、1年間告示校等で経験を積んで、どれかの経過措置ルートに乗るのが、恐らく最も合理的だと思います。
特に検定を取っている人は、(3)と同様に、週1回告示校等で働けばE1、E2ルートに乗れるようになり、講習の受講だけでOKになります。
D1、D2ルートの場合でも、実践研修や基礎試験が免除になるのは大きいと思います。
ゼロから受けるとなると、実践研修も必要なので、かなりのお金と労力がかかってきます。
なお、1年間該当機関で経験を積んでもどの経過措置にも乗れない場合は、試験ルートでチャレンジするのが良いでしょう。
まとめ
![](https://nihongo-base.com/wp-content/uploads/2021/08/paper-224224_1920-1024x728.jpg)
いかがでしたか。
2024年4月に始まった日本語教師の国家資格「登録日本語教員」や、それに係る制度について、最新情報を一通り網羅して解説しました。
日本語教師を目指す人や、現役日本語教師の皆さまの参考になれば幸いです。
このブログでは、今後もこの制度の最新情報を追っていきます。
更新があれば随時X(Twitter)でお知らせしていくので、まだの方はぜひフォローしてお待ちください。
日本語教員試験についてはこちら↓
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コメント
E1,E2ルートを通る場合、日本語教員試験が免除であるにもかかわらず、5900円の費用がかかるのはどうしてですか?
両方免除ではあるものの、一応受験して(両方免除になって)合格するというプロセスが必要なようです。
そのために、受験料として5,900円が必要みたいです。
情報のご提供、ありがとうございました。よくわかりました。今後ともよろしくお願いいたします。
情報提供ありがとうございます。告示校で現職1年以上で、必須の50項目に対応した養成課程を修了し、日本語教育能力検定試験にも合格した人は講習Ⅰ、講習Ⅱおよび認定試験の全てが免除されると考えてよいでしょうか?
コメントありがとうございます。これについては文化庁に確認したところ、CかEルートのどちらかを選んでくださいとのことでした。
よって講習も含めた全てが免除されるルートはないと思います。ご参考まで。
ご回答ありがとうございます。E-Ⅱルートを選択することにします。