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登録実践研修機関・登録日本語教員養成機関とは?日本語教師養成講座に係る新制度を徹底解説!

日本語教師養成講座の新制度

日本語教師の資格に関する新しい制度が始まると聞きました。

日本語教師養成講座はどう変わるのでしょうか?

2024年4月に日本語教育機関認定法が施行され、日本語教師の国家資格である「登録日本語教員」の制度が新たにスタートします。

それと同時に、いわゆる日本語教師養成講座(420時間)についても、2024年からは「登録日本語教員養成機関」と「登録実践研修機関」という2つのカテゴリに分けられ、文科省による登録制度が始まることになっています(具体的には2024年夏ごろから機関登録の申請開始、秋ごろから登録開始)。

つまり、この制度が始まると、日本語教師養成講座を受講したい人は
①登録日本語教員養成機関での研修(試験ルートの場合不要)と
②登録実践研修機関での研修の2つの受講が必要になるということです。

①はこれまでの日本語教師養成講座のうち、「教育実習」以外の375時間分を請け負う部分です。
②は45時間の「教育実習」部分を担います。

合計で420時間となり、実質的にはこれまでの学習内容と大差はありません。

では、新制度になると、これまでの日本語教師養成講座とは、どのような点が異なってくるのでしょうか。

詳しく解説していきます。

なお、登録日本語教員制度について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

※この記事の内容は、下記の資料に基づいて作成した、更新日時点での最新情報です。

・「日本語教育の適正かつ確実な実施を図るための日本語教育機関の認定等に関する法律」(日本語教育機関認定法)
・その他文化庁文化審議会国語分科会日本語教育小委員会、ワーキンググループの各資料
「日本語教育機関認定法 今後のスケジュール案(令和5年12月下旬時点)」
「認定日本語教育機関に関する省令等の案について」
「登録実践研修機関・登録日本語教員養成機関に関する省令等の案について」
「登録日本語教員の資格取得に係る経過措置」など

こんな人にオススメ!

✔️これから日本語教師養成講座を受講したい!
✔️登録日本語教員の国家資格が取りたい!
✔️日本語教師に関する新しい制度について知りたい!
✔️日本語教師養成講座を修了したけど、資格として使えるか不安…

1. 日本語教師養成講座に関する現行制度の確認

法務省に認められた日本語学校(法務省告示校、以下「告示校」)で日本語教師として働くためには、一定の資格が必要です。

その資格の1つに、「4年制大学卒業+日本語教師養成講座(420時間)修了」というものがあります。

そのため、現行制度では、日本語教師養成講座を修了すれば、特に試験等を受験しなくても、告示校で日本語教師として働けます。

また、現行の日本語教師養成講座では、「理論・知識の学習」と「実践的な練習」が一体的に行われています。そのため、1つの講座を修了すれば上記の資格を満たすことができます。

なお、告示校以外で日本語教師として働く場合は、日本語教師養成講座の修了も特に必須ではありません。

日本語教師の現行資格について詳しく知りたい方はこちら↓

2. 新しい登録日本語教員制度で養成講座の扱いはどう変わる?

簡単に結論を言うと、新制度になると文科省に新たに認定される「認定日本語教育機関」では、日本語教師養成講座を修了しただけでは、日本語教師として働けなくなります

順を追って説明していきます。

まず、前述の法律で定められた制度が始まると、留学生を受け入れたい日本語学校は、新たに文科省の認定を受けることが必要になります。

この認定を受けた機関は、認定日本語教育機関と呼ばれるのですが、この認定日本語教育機関で日本語教師として働くには、国家資格「登録日本語教員」が必須になります。

そして、ゼロから登録日本語教員になるためには、登録日本語教員養成機関の課程の修了と、実践研修(外国人学習者を相手にした教育実習)の修了、そして日本語教員試験の合格が必須になります。

そのため、日本語教師養成講座を修了しただけでは、認定日本語教育機関では働けないということになります。

なお、留学生以外を対象とした日本語教育機関の場合は、認定を受けることが必須ではないため、登録日本語教員の資格が必須ではないところも出てきます。

ゼロから登録日本語教員になるルートは以下の通りです。

(文化庁ウェブサイトより)

2つの試験を受ける「試験ルート」の場合、登録日本語教員養成機関の課程を修了する必要はなく、2つの試験の合格と、実践研修の修了が必要になります。

登録日本語教員養成機関の課程を履修する「養成機関ルート」の場合、試験①は免除され、試験②の合格と、実践研修の修了が必要になります(「養成機関ルート」の右側)

ただし、登録日本語教員養成機関が、実践研修を実施する機関(登録実践研修機関)としても認定されている場合は、これまでの日本語教師養成講座と同様に、45時間の実践研修も一体的に受講できます

そのため、そのような機関で両方の研修を修了すれば、別で実践研修を受ける必要はなくなります(「養成機関ルート」の左側)。

つまり、現行の養成講座と同様の受講はできるものの、修了後(または受講中)に試験に合格する必要が出てくるということです。

養成課程を受講しない試験ルートについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

3. 登録日本語教員養成機関とは?

先に述べた通り、これまでの「日本語教師養成講座」は「登録日本語教員養成機関」と「登録実践研修機関」の2つに分けられることになります。

この2つについて、簡単に解説していきます。

まず、登録日本語教員養成機関とは、375時間(以上)の言語、社会、文化、心理、地域などに関する基礎的な知識の養成を担う機関です。

大学や専門学校、その他の教育機関がこの登録を受けることができます。 授業の具体的な内容は、こちらの図を参考にしてください。

(文化庁HPより)

この図の(28)教育実習以外の部分を、登録日本語教員養成機関が担うことになります。

つまりこれまで日本語教師養成講座(420時間)が提供してきた教育課程のうち、実践的な「教育実習」以外の理論・知識を中心とした部分を請け負うのが、この「登録日本語教員養成機関」という位置付けです。

4. 登録実践研修機関とは?

登録実践研修機関とは、上で紹介した図のうち、日本語教師になるためのより実践的な練習をする(28)教育実習(45時間分)の部分を担う機関です。

新制度では、この教育実習部分は「実践研修」と呼ばれます。

こちらも大学や専門学校、その他の教育機関がこの登録を受けることができ、文科省の登録を受けた機関が、この実践研修を実施できます。

実践研修(教育実習)とは、実際に外国人学習者を相手に授業をし、その前後の準備等の一連の流れを経験するために行われるものです。

これまでの日本語教師養成講座でも、通常は他の学習・実習が全て終わってから、講座の総まとめとして、最後に行われてきました。

具体的には、以下のような内容が含まれます。

①オリエンテーション
②授業見学
③授業準備
④模擬授業
⑤教壇実習
⑥実践研修全体総括

まとめると、新制度の下では、それぞれの機関が以下のような役割を担うことになります。

■登録日本語教員養成機関(375時間)…
基礎的な知識や授業スキルの習得を行う
■登録実践研修機関(45時間)…
登録日本語教員養成機関で学んだ知識の総まとめと実践練習を行う

養成課程と実践研修を実施する機関を分ける理由の1つとして、外国人学習者を相手にした実践研修(教育実習)を請け負う機関の不足が挙げられます。

登録実践研修機関を養成講座から切り離し、独立した機関にすることで、日本語学校などがこの部分に参入しやすくなり、大学等の日本語教師養成機関と連携し、日本語教育の裾野を広げる狙いがあるようです。

5. 受講から資格取得までの流れは?

2のセクションで見たとおり、養成講座ルートでの資格取得までの流れは、以下のようになります。

①登録日本語教員養成機関修了

②基礎試験免除

③応用試験合格

④実践研修修了

⑤登録日本語教員の登録

ただし、登録日本語教員養成機関と登録実践研修機関の両方の認定を受けた機関で研修を受ける場合は、登録日本語教員養成機関(①)と登録実践研修機関(④)の研修を一体的に受講することが可能です。

また、応用試験(③)や実践研修(④)は、登録日本語教員養成機関での研修(①)の修了前の段階(修了見込み)でも、受験/受講が可能となっています。

ただ、修了見込みで実践研修(④)を受ける場合は、3で紹介した必須の50項目のうち、異文化理解や言語習得、日本語の構造など、規定の37項目について最低限必要な学習が終了していることが条件となっています。

6. 今、養成講座を受講中の人はどうなるの?経過措置は?

ここで、現在日本語教師養成講座を受講中の人の中には、「じゃあ私たちはどうなるの?今受けている講座は無駄になるの?」と思った人もいると思います。

まず、結論から言うと、基本的に、「今」日本語教師養成講座を受けている人は、その受講が無駄になる可能性はないと言えます。

なぜなら、2024年4月の法律施行から5年間(Cルートの場合は9年間)は、経過措置(移行期間)が設けられているからです。

ポイントは、養成講座が、3のセクションで紹介した「必須の教育内容50項目」に対応しているかどうかです。

(文化庁ウェブサイトより)

こちらの図の一番左のCルートを見ると分かる通り、「必須の50項目」に対応した日本語教師養成講座を修了した場合、この5年間は、新たに登録される「登録日本語教員養成機関」及び「登録実践研修機関」を修了した場合と同等の扱いを受けることができます。

つまり、試験①(基礎試験)と実践研修が免除され、試験②(応用試験)のみの合格でOKということです。

なお、この必須の50項目は、2019年3月に出されたものなので、それ以前に日本語教師養成講座を修了した場合は、対象外となります。C及びD1ルートの対象課程はこちら

ただし、現職者(定義は上図の※1参照)の場合は、これに対応前の講座でも、上記のような経過措置を受けることができます

そのため、この経過措置期間中に日本語教師として1年実務経験を積めば、対応前の講座を修了していても、経過措置ルート(D1またはD2)を通ることが可能になります。

経過措置について詳しく知りたい方はこちら↓

まとめ

いかがでしたか。

2024年4月から始まる登録日本語教員養成機関、登録実践研修機関について、現時点での最新情報を解説しました。

今後も文化庁と文科省の動向を追い、最新の情報をこの記事で更新していきます。

更新があった際は、X(旧Twitter)でお知らせしていきますので、気になる方はぜひこちらからフォローをお願いします。

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