授業は何とかこなせるようになってきたんですが、イマイチ学習者との距離が遠いというか、壁がある感じがします…。発言も少ないし。
学習者の心をつかむのって、難しいですよね。
特に経験が少ない段階では、授業のスキルや分かりやすさだけで学習者を自分の授業に引き込んだり、さまざまな発言を引き出したりするのは難しいことです。
今回はそんな悩みを持っている日本語教師の皆さんに、誰でも簡単にできる
「学習者の心を開くきっかけを作る」
方法を5つ紹介したいと思います。
うまく学習者の心を開き、距離を縮めることによって、授業への参加度や発言量もアップし、より活発な授業ができるようになるので、是非参考にしてみてください。
1. 学習者の国の文化や習慣、名所を知る
教師に学習者の国の文化や習慣などに対する知識や理解があると、学習者は安心して勉強することができます。
また教師が自分の国に興味を持ってくれていると、親近感が湧いて
「もっと自分の国のことを教えたい」という気持ちになり、自然と授業内の発言も増えます。
だからまずは学習者の国や地域の文化・習慣などについての知識を増やして、それを知っていることを学習者に伝えてみてください。授業内でもいいし、休み時間などでもいいです。
疑問に思ったことを質問してみるのも、とても有効です。
また、学習者の国に旅行などで訪れたことがあるなら、その経験を話したり、授業内で扱う例文などに取り入れるのも◎です。
【まとめ】
- 学習者の国・地域の文化や習慣・名所などについての知識を深める
- 授業内の活動に取り入れたり、学習者との雑談のテーマにしたりする
- 学習者に積極的に質問したり、自分の旅行経験などを話したりするのも有効
2. 学習者の母語の特徴、簡単な挨拶などの表現を学ぶ
前項に通じるところはありますが、学習者の母語について興味を持っていること・その言語ができることを示すと、学習者との距離を縮めるのにプラスに働きます。
挨拶や簡単な言葉だけでもいいので、学習者の母語を知っているということを示してみてください。
また、語彙や文法などを説明したあとで、「○○語ではこういうときにどういう表現を使うの?」と質問してみると、結構熱心に教えてくれる学習者が多いです。
ただし、授業中の解説や指示などに多用すると、「日本語で教えてほしいのに…」という不満が生まれたり、学習者が母語に依存しすぎたりします。そうなると逆効果になってしまうので、あくまで雑談等の範囲内でやってみてください。
また、学習者の母語の特徴を知ってれば、学習者がつまずきやすいところやその理由が分かるので、それに即して説明したり、問題を作ったりすることができます。
【まとめ】
- 学習者の母語についての知識を深めよう
- 簡単な挨拶や単語でもいいので、知っている表現を増やそう
- 直接法のクラスでは、授業中に母語を媒介語として多用するのは逆効果
- 母語を知ることによって、間違いやすいところの傾向や理由が分かって一石二鳥
3. 授業内で使う例文や活動に自分の情報を入れていく
「人に名前を聞く時はまず自分から」という言葉があるように、学習者の情報を引き出したいときは、まず自分のことを積極的に見せていきましょう。
趣味とか好きなものとかももちろんいいですし、学習者の国に行ったときの話や、自分の家族の話など(写真を見せながら)は結構鉄板で食いついてくれると思います。
そういう情報を例文や雑談の中に織り交ぜて話していくことで、学習者が共通点を見つけて興味を持ってくれたり、自分のことを話し出したりしてくれます。
ただし、家族のことやお金のことなどをズケズケと突っ込んで聞いていくのはもちろんNGです。デリケートな状況の場合もある話題に関しては、向こうから話してくれるようになるのを待つのが◎です。
また、ある程度の関係が構築されるまで(数回授業をするまで)は、こういうやり方はあまり響かないこともあります。お互いにいわゆる「様子見」の期間が終わってから見せていくのが◎です。
【まとめ】
- 学習者の情報を引き出すには、まず自分の情報を積極的に見せていこう
- 学習者の国や地域に関連した自分の経験、または家族の話題はウケ◎
- 家族のことやお金のことなど、学習者のプライベートな情報をこちらから掘り下げていくのは×
4. 学習者が自発的に教えてくれた情報を覚えておく
1〜3のようなことをやっていき、学習者が自分のことを発信してくれるようになったら、教えてくれた情報はできるだけたくさん覚えておきましょう。
次の授業や、しばらく経ってからそれを「○○さんって××だったよね/××が好きだったよね」などと言って覚えていることを示すと、自分に関心を持ってくれている・積極的に知ろうとしてくれていると感じて、信頼感が増すことが多いようです。
特に国や家族・趣味などの情報は、教えてくれたら覚えておけるといいですね。
逆に、学習者の名前をいつまで経っても覚えられない教師や、何度も名前を間違える教師は、学習者もあまり信頼してくれない印象です。
【まとめ】
- 学習者が発信してくれた情報はできるだけ覚えておこう
- しばらく経ってから、覚えていることをしっかり示そう
- 学習者の名前はすぐに覚えて、間違えないようにしよう
5. 学習者に合わせて柔軟に接し方を変えていく
学習者もいろいろな性格の人がいます。
真面目で厳しい先生が好きな学習者もいるし、授業態度のよくない(いわゆる不良タイプの)人は、「やらない」ことを厳しく叱るタイプの先生とはうまくいきません。
誰に対しても常に同じ態度の教師は、ある意味公平性があっていい教師のように見えますが、それだけでは一部のタイプの学習者の心しかつかめません。
あまりやる気のないタイプの学習者は、まず仲良くなって信頼関係を築いてから、友達に近い態度で授業への参加を促した方が、モチベーションを上げてくれます。
でも全ての学習者にそういう接し方をすると、今度は一定の距離感がほしい学習者や、厳しい雰囲気の中で真面目に勉強したい人には信頼されなくなります。
だから、自分のやり方・接し方に固執せずに、学習者によって接し方やモチベーションの上げ方を見極め、柔軟に変えていくことが必要です。
もちろん公平性は維持できる範囲で。
そして、人間と人間のことなので、どんなにいい教師でも全ての学習者から100%の信頼を得るのは無理です。
「全員に信頼してもらい、心を開いてもらう」のを目標にするのはやめましょう。
【まとめ】
- 自分のやり方に固執せずに、学習者によって接し方を柔軟に変える
- 贔屓したり偏った態度をとるということではないので、公平性は必ず意識する
- 全員に100%信頼してもらい、心を開いてもらうのは無理
6. この記事のまとめ
学習者の心を開く行動5つ…
- 1. 学習者の国の文化や習慣、名所を知る
- 2. 学習者の母語の特徴、簡単な挨拶などの表現を学ぶ
- 3. 授業内で使う例文や活動に自分の情報を入れていく
- 4. 学習者が自発的に教えてくれた情報を覚えておく
- 5. 学習者に合わせて柔軟に接し方を変えていく
いかがでしたか。
学習者との距離感の遠さ、発話量の少なさなどに悩んでいる人は、ぜひ明日からやってみてください。
もちろん信頼を得るために最も重要なのは、「授業が分かりやすい」ことと、「得る知識が豊富にある」ことです。
それがあればほとんどの要素を無視して、学習者は信頼してくれます。
そうなるまでのきっかけ作りや、それをさらに強固なものにするための方法として、今回の5つを活用してもらえれば嬉しいです。
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