留学生、って言葉は聞いたことがありますが、知らないことが多いかも…
日本に勉強しに来ている外国人のことですよね?
確かにそうですね。一般に留学生というと、大学や高校などに在籍して勉強している外国人のことをイメージする人が多いはず。
でも、一口に留学生といっても、その来日目的や活動場所は多岐にわたります。
この記事では、特に日本語学校に入学する留学生にスポットを当てながら、皆さんに知っておいてほしいことを紹介したいと思います。
1. そもそも留学生とは?
基本的には、「留学」の在留資格を取得して日本に居住している外国人のことです。
在留資格の種類は、たくさんある(参考→外務省HP「在留資格一覧表」)のですが、日本語学校に入学する外国人も、専門学校や大学に入学する外国人も、その多くは「留学」の在留資格を取得しています。
在留資格とは、その名の通り、日本に在留するための資格です。来日する人は、これを取得することによって、目的のための活動を許可され、決められた期間、日本に滞在することができます。
ビザと在留資格は正確には同一のものではありませんが、この「在留資格」が「ビザ」と呼ばれることも結構あります。
日本語学校はこの一連の手続きのサポートを行います。
入学までの流れを簡単にまとめると以下のようになります(留…留学生、日…日本語学校)
上記のプロセスの中で、COEがあればVISAが、VISAがあれば在留資格が得やすくなります(100%ではないが、ほぼ得られる)。
COEとは、「在留資格認定証明書」のことで、VISAを取得するためには、先にこのCOEの取得が必要です。
日本語学校のなかで「ビザの交付率」という話を耳にしたことがある方は多いと思いますが、この場合の「ビザの交付率」は、COEの交付率の話であることがほとんどです。
日本語学校に入学する「留学生」は、単に日本語を勉強するという目的のためだけではなく、大学進学や就職など、その後の目的を持っている人がほとんどです。
大学・専門学校への直接入学は、求められる日本語レベルなどの問題からハードルが高いので、まず入学しやすい(=在留資格が得やすい)日本語学校から留学生活をスタートする人が多いのです。
ただし、在留資格には期限があり、定期的に更新をしなければなりません。その際、日本語学校での出席率や成績が著しく悪いと、更新が認められず、途中で帰国しないといけなくなるケースもあります。
ちなみに留学生には、「私費留学生」と「国費留学生」がいます。
その名のとおり「国費留学生」は、日本政府(台湾の場合は公益財団法人日本台湾交流協会)からの奨学金を得て留学しています。
「私費留学生」の学費や生活費等は、基本的にすべて自己負担になります。
私費留学生向けの各種奨学金や学費減免等のサポート制度もありますが、成績優秀者等、一定の条件があります)。
ただし、留学生全体約30万人のうち、国費留学生は9,000人程度で、全体の約3%しかいません。
(令和2年5月のデータ。参照:文科省HP「国費外国人留学生の受入人数について」)
日本語学校や大学・専門学校等で勉強する留学生の大半は、私費留学生です。
【留学生の基本まとめ】
- 「留学」の在留資格を取得し、日本語学校・大学などで勉強
- ビザとCOEと在留資格はちょっと違う
- 日本語学校の留学生は大学・専門学校・就職などを目指す人が多い
- 私費/国費の2種類の留学生がいるが、大半は私費留学生
2. 留学生の国籍は?
出入国在留管理庁のデータによると、2022年6月末の留学生の数は約26万人です。
ピーク時(2018年)は約34万人だったので、コロナ禍の影響がまだ残っていることが分かります。
トップ5は以下のようになっています(2022年6月末時点)。
- ①中国(112,243人)
- ②ベトナム(44,358人)
- ③ネパール(32,336人)
- ④韓国(12,584人)
- ⑤インドネシア(6,330人)
中国、ベトナムなど、アジアの国がほとんどであることが分かると思います。
もちろんそれ以外の地域からの留学生もいるのですが、特に日本語学校では少数派となっています。
最近では②のベトナム、③のネパールだけでなく、ミャンマーやバングラデシュからの留学生がかなり増えてきました。
ちなみに留学生だけでなく、日本語学習者全体の割合は、こちらの調査(文化庁「令和4年度 国内の日本語教育の概要」)にまとめられています。
【留学生の国籍まとめ】
- アジアの国がほとんどを占める
- 中国が最も多く112,243人(2022年6月現在)
- 最近ではベトナム・ネパール、バングラデシュなどからの留学生が増えている
3. 留学生のお金事情
前述のように、留学生の大半は私費留学生です。
そのため、留学にかかる費用は自己負担しなければなりません。
日本語学校の学費は年間60-80万円程度、大学や専門学校は、多くの場合私費留学生には学費減免や奨学金などのサポート制度を設けていますが、それでも高いところは諸費用等を合わせると年間100万円を超えます。
また、国民健康保険や年金等にも基本的には加入しなければなりません。
多くの留学生は、この学費と生活費を賄うため、仕送りをしてもらったり、日本でアルバイトをしたりします。
留学生の経済状況は、出身国や地域、もちろん個人によってもバラバラです。
留学生=お金持ちというイメージがある人もいるかもしれませんが、限られた時間の中でアルバイトをしながら、生活を切り詰めて勉強と両立させている人もたくさんいます。
ちなみに、留学生でクレジットカードの申請をする人も多いのですが、収入面の不安等から、結構頻繁に審査に落とされます。
【留学生のお金事情まとめ】
- 私費留学生は生活費・学費等自己負担
- アルバイトをしている人も多い
- 経済状況はバックグラウンドによって様々
- お金に余裕がなく、切り詰めて生活している留学生も多数
留学生の入国や生活に係る手続き関係はこちらの記事で詳しくまとめているので、併せて読んでみてください。
4. 何のために留学するのか?
これまで私が見てきた留学生の来日目的・理由には、以下のようなものがありました。
日本で○○を勉強したい!
(例)アニメ、機械、経営、観光、デザイン、ゲーム、自動車…
これは最も正統派というか、留学生と聞いたら当然こういう目的で留学するんでしょ、と思う人が多いはず。中国では経営・経済・アニメ、ベトナムでは自動車などが人気です。
日本で就職・起業したい!
最近増えているのが就職を目指す留学生です。また、輸出入などをやるために起業する人も時々います。
留学するだけあって、行動力がある人も多いので、ビジネス志向の人は結構貪欲に動きます。
日本の文化に触れたい!日本の色々なところに行ってみたい!
欧米人や、年齢層が高めの人(30-40代とか)に時々います。
仕事をしばらく休んで日本語を勉強しながら、日本の色々なところに旅行をしたり、興味のある日本文化に触れながら1年〜2年を過ごして帰国する、というスタイルの人です。
これは羨ましい…
…
ただし
実はこういう前向きな理由で留学する人ばかりではありません。
こちらのツイートでも紹介したのですが、以下のような消極的な理由で留学する人もいます。
②母国で大学に行ったが、大学院への進学や就職に失敗したので、留学した(逃げてきた)
③4大への進学に失敗したから留学した(逃げてきた)
④お金を稼ぐために来た
⑤大学で他の言語を勉強したかったが、成績が足りず日本語専攻に回されて仕方なく日本語を勉強し、その惰性で来た
①②③⑤は中国の留学生、④はベトナムなど東南アジアの留学生によくみられる傾向です。
もちろん全員がこうだというわけではありません。
本人たちも表向きはあまり言いたくないようですが、よくよく話を聞くとこういう事情だった、という人は結構います。
ただし、こういう人たちが全く勉強する気がないというわけではなくて、逃げてきたけど日本では頑張りたいと元々思っている人もいるし、最初はやる気がなかったけど、来日してから変わって、勉強し始める人もいます。そこの層をうまくサポートして、やる気にさせられるかどうかは教師の腕次第です。
ちなみに留学生が日本語学校にいられる期間は最大2年間です(現在はコロナ禍の影響で特例措置あり)。
留学生は2年間で目標を達成するための日本語レベルに到達できるように、勉強を進め、JLPTやEJUなどの試験を受けていくことになります。
ただ、日本の大学や専門学校は多くのところが4月生しか受け入れていません(大学院は多くが10月入学可)。
そのため、10月に日本語学校に入学した人は実質1年半、1月に入学した人は実質1年3か月後に進学しなければならないので、レベルの高い大学等への進学を目指す場合は、国である程度高い日本語能力を身につけてから留学する必要があります(日本語学校への主たる入学時期は4月、10月。1月や7月に入学できる学校もある)。
【主な留学理由のまとめ】
- 進学して、好きなことを勉強したい
- 就職・起業したい
- 日本の文化に触れ、色々なところを巡ってみたい
- 消極的な理由で留学する人も結構いる
- 限られた期間で目標を達成できるように勉強を進めていく必要がある
ー
いかがでしたか。
留学生は文化も言葉も違う日本で、両親や家族と離れて生活をしながら、自分の夢や目標に向かって日々勉強とアルバイトに勤しんでいます。
日本語教師や周りにいる日本人が温かくサポートすることによって、留学生が安心して生活し、勉強に集中できるような環境を作っていきたいものです。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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