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日本語教師って日本語をどう見ているの?【日本語教師的思考を徹底解剖】

日本語教師の思考を養う方法

日本語って、普段使っているのに、いざ自分が外国人に説明を求められたら、なかなか説明できませんね。なぜなんでしょうか。

これは当たり前のことなんですが、私たち日本人の多くは日本で生まれ、日本で育ち、日本語を母語として身につけます。

なぜ人間は立ち上がれるのか?

と同じぐらいのレベルで、私たちは無意識のうちに日々の積み重ねから母語のシステムを獲得しています。

そのため、構造やシステムが身についてはいるものの、それを体系的に学んだことがないため、ルールや構造などについては知らないことが多いのです。

日本語教師は、その無意識の部分を解き明かして、外国語として日本語を扱う仕事です。

今回は、日本語教師になるために知っておきたい「日本語教師的思考」の養い方を紹介したいと思います。

1. 日本語の無意識の部分を意識してみる

日本語教師と、普通の日本人を分けるポイントの1つとして、

普段意識せず使っている日本語を意識して見られるかどうか

ということが挙げられます。

日本に生まれ、日本で育った人なら、日本語が話せるのは当たり前でしょう。

でも、それを学ぶ人にルール化して教えることができるか

というのは、全く別の問題です。

たとえば

■「承認する」と「承諾する」の違いは何だろう?
■「ぜひ来てください」は言えるのに、「ぜひお金を貸してください」はどうして言えないんだろう?
■テレビで言ってた「やらさせていただきます」っていう表現、なんか違和感あったけど何故なんだろう?

普段無意識に使ったり、聞いたりしている日本語に興味を持って考えてみることが、日本語教師的思考を養うための第一歩と言えます。

「無意識の部分を意識してみる」のまとめ

  • 普段見聞きしたり、自分が使ったりしている日本語に興味を持ってみる
  • 違和感があるところや、2つの表現の違い、新しく出てきた言葉などがポイント

2. 意識してみて生まれた疑問について調べる

日本語教師ではない人でも、このような疑問を持つ人はたくさんいます。

でも

「何でなんだろうなあ〜…(分からない)…日本語って難しいなあ」

と終わることが多いと思います。

日本語教師的思考を身につけるためには、1. のような疑問を持ったら、すぐに調べてみることがとても大切です。

調べるときのポイントをここで紹介したいと思います。

⑴必ず複数の意見や考え・論文などを見てみる
⑵某質問サイト系は参考にしてもよいがそれを結論にするのは危険
⑶辞書もいいが、類似表現の細かい違いや、文法構造上のルールなどは記載されていないことが多い
⑷参考書や文型辞典などがあると○
⑸「この日本語が正しい」という絶対的なものはない

インターネットには多種多様な情報が溢れています。その分、真実かどうか怪しいものや、明らかに間違っているものも多数存在します。

また、本や参考書などはウェブサイトより信頼性が増しますが、出版されてから時間が経つと(10年とか)、情報が古く、新定義が確立されていたり、世の中の動き等によって言葉の使い方が変わっていたりすることもあります。

大切なのは、どのような情報源を使うとしても、一つの情報を鵜呑みにせず、複数の情報を見ながら自分なりに例外を探したりしながら、答えを見つけていくことです。

オススメの文型辞典はこちら↓

「生まれた疑問について調べる」のまとめ

  • 日本語の疑問や違和感が生まれたら、調べてみる
  • インターネット、参考書、文型辞典などを使用するが、必ず複数の情報を比較する
  • 情報を見比べて出てきた疑問をさらに調べたり、自分なりに考えたりしてみる

3. 調べて分かったことを簡単な言葉で言い換える

※このセクションは、直接法を前提として書いています。

ある程度調べて、自分で考えて答えが出たとしましょう。

次に、それをそのまま学習者に説明できるか考えてみてください

その他の外国語学習と同じように、日本語の学習者は少しずつ勉強や生活の中で語彙や文法の知識を増やしていきます。

使っている教科書やその学習者が置かれている環境によって、学習者が身につけていく知識の種類も異なります。

例えば、若い日本人と一緒にルームシェアしている中国人の留学生と、アメリカでアニメを教材にしたオンライン日本語レッスンを受けている学習者とでは知識の量も種類も変わりますよね。

そして何より、ウェブサイトや参考書、辞書などの説明は

日本人向け

に書かれていますから、抽象的な言葉や難解な(=要は学習者が日々の生活や学校の勉強などで触れることの極めて稀な)言葉が多くなっています。

そのため、それをそのまま伝えても理解できることは稀です。

学習者に伝わるようにするためには、調べてわかった情報を、簡単な言葉で言い換える必要があります。

たとえばレストラン等の「食べ放題」というサービスを外国人に説明したいとき、あなたならどう説明しますか?

ちなみにWikipediaでは、以下のように定義されています。

食べ放題(たべほうだい)は、定額料金を支払えば一定の料理や果物などを希望する量だけ食べることができるサービス。
(Wikipedia「食べ放題」より引用)
 

でも

これをこのまま学習者に伝えたところで、理解できる人は多くありません。

なぜなら、「定額料金」「支払う」「一定の」「希望する」などの言葉は、ある程度高いレベルの日本語学習者でなければ、勉強していることは少ないからです。

学習者に伝わるようにするには、

「例えば、2000円払います。90分、お腹がいっぱいになるまで食べることができます。10個食べても、100個食べてもいいです」

のように

✔️簡単な言葉で言い換える
✔️例を出してイメージしやすくする

などのポイントを抑えて説明することが不可欠です。

説明の仕方についてより詳しく知りたい方はこちら↓

「簡単な言葉で言い換える」のまとめ

  • 辞書や参考書等の日本人向けに書かれた説明は、外国人には難易度がかなり高い
  • 学習レベルによって、説明に使う表現をコントロールする必要がある
  • 説明のポイントは、簡単な言葉に言い換える+例を出して分かりやすくする

4. 言い換えた言葉で学習者に説明してみる

説明に使えるように言い換えができたら、それを実際に学習者相手に伝えてみてください。

それで伝わればOKです。

ただし、伝わったかどうかは、

分かりましたか?

はい、分かりました

このやりとりだけで判断してはいけません。

必ず練習等を行いながら理解度と、理解できていない箇所をチェックしていくことが大切です。

わかっていなくても、学習者が「分かりました」ということはよくあるからです。

【参考】納得していないときのサイン↓

5. 伝われば保存、ダメなら修正して再トライ

4. の説明がうまくいったら、その説明はデータ化して残しておきましょう。

そうすることによって、次に同じようなレベルの学習者を相手にするときに、考える時間が大幅に短縮できるからです。

うまくいった説明や教材等は、データベース化して、いつでも引き出せるようにしておくのがオススメです。

授業準備短縮について詳しくはこちら↓

うまくいかなった場合は、その説明のどこが伝わらなかったのかを分析して、授業後すぐに修正することをオススメします。

時間が経てば経つほど、どこでどうして躓いたのかという記憶は曖昧になっていきます。

チェックすべきポイントは、使用語彙、学習者への指示の出し方、説明のスピード、提示の順序などです。

そしてまた修正したものが学習者にしっかり伝わるか、再トライ…

その繰り返しで1番良い説明を考えていってください。

もちろん、1回目にうまくいっても、2回目にその説明がまた使えるとは限りません。
日本語レベルがより低い学習者に同じ項目を説明しなければならないときは、もう少し難易度を落とした説明を考える必要があります。

絵や写真などが使える部分は積極的に活用して、無駄に喋る量を減らすのも◎です。

「言い換えた言葉で学習者に説明」と「伝われば保存、ダメなら修正して再トライ」のまとめ

  • 考えた説明が学習者にしっかり伝わるかやってみよう
  • 伝わったかどうかは、「分かりましたか?」と聞くのではなく、練習等の中でチェックしよう
  • 説明がうまくいったら、データ化して蓄積しよう
  • うまくいかなかったら、原因を探ってできるだけ早く修正しよう
  • 原因は、使用語彙、学習者への指示の出し方、説明のスピード、提示の順序など
  • 直したら再トライ、再修正の繰り返しで、説明を完成させよう
  • 一度できたものも、学習者のレベルやバックグラウンドによって柔軟に変えていこう

…いかがでしたか。これが楽しみながらできる人は、とても日本語教師に向いていると思います。

日本語のことを調べるのって、骨が折れる作業ではあるんですが、私も何だかんだ好きではあります。

だから10年以上この仕事が続けられるのだと思います。

そうでない人も、まずはこの考え方を身につけることが日本語教師としての成長につながると思いますので、ぜひやってみてください。あとは面倒な作業をどこまで効率化できるかというところだと思います。

元ツイートはこちら↓

仕事効率化はこちら↓

日本語教育能力検定試験の勉強にオススメの本はこちら↓

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