日本語学校は劣悪な労働環境だと聞くことがありますが…
実際はどうなのでしょうか。
昔から、「日本語教師の待遇は悪い、日本語学校の労働環境は悪い」と言われることは少なくありません。
最近では、待遇や労働環境が改善されたり、ICT設備が整えられ、授業や業務の効率や拡張性が改善されたりする学校も増えてきました。
現役日本語教師の皆さんにご協力いただいたこの調査↓でもそれが現れていたと思います。
でも
まだまだ闇を抱える日本語学校はあります。
今回は、日本語学校が抱える「闇」に迫ってみたいと思います。
これから日本語学校で働こうとしている方は、日本語学校を選ぶ際に、この記事を参考にしてもらえれば幸いです。
それではいきましょう!
1. 経営者が日本語教育のことを知らない
日本語学校の経営母体は様々ありますが、
経営者が日本語教育に携わったことがない学校も珍しくありません。
そのため、日本語教育を行うのに必要な環境や人事体制、給与・待遇などについて全く知らない場合もありますし、
そもそも留学生の受け入れや日本語学校のルール(法務省告示基準とか)についての知識さえ十分ではないこともあります。
日本語学校を新設しようとする人と話すことも時々あるのですが、ある人は留学のためのCOEや在留資格の申請フローと必要期間等のことすら知りませんでした。
まあでも極端な話をすれば、
経営の腕があって、会社経営をメインに動き、日本語教育や外国人の受け入れについては知識のある職員に任せてくれる人なら、別に日本語教育についてそれほど知らなくてもいいと思います。
でも、このような無知な経営者が教育内容やカリキュラム、細かい人事などについても口を出してくると、日本語教師はそれに振り回されることになりがちです。
例えば
N4レベルの留学生を2か月でN2レベルまで引き上げろ
とか
常勤が全員在校生クラスの授業に週4回入っているのに、
さらに未入国の入学待機者向けにオンライン授業をやれ
とか
もちろん民間の日本語学校は会社なので、経営者目線からの意見は不可欠ですけどね。
でも
人員や業務量の状況、適切な学習期間などを知らない経営者が無理難題を押し付けてくると、日本語教師は精神的にも肉体的にも、かなりの負担を強いられることになります。
20万程度の給料でやる仕事量じゃない!
って思ったことのある常勤講師の人は少なくないはず。
2. 昔ながらの日本語教師が学校を牛耳っている
「昔ながらの日本語教師」が何を指すか、詳しくはこちらの記事↓を読んでください。
簡単にまとめると以下のような感じ。
✔️プロジェクターとかPPTは使わせてくれない(そもそも設備を持ってない場合も含む)
✔️授業後の宿題・テストの添削は無給で何時間もやらされる
✔️授業では小芝居文型導入とレアリアの持ち込みが正義
✔️教案は必ず作れ!!
✔️在校生との連絡は必ず電話か対面で、アンケートや調査、提出物は必ず紙で
昔の日本語学校では、このようなことが普通でしたし、こう教えてくる先輩・上司は結構いました。
こういう古い考え方の日本語教師が多く残っていて、校長や教務主任などのポジションにいる学校は、
時が止まってます。
そのせいで同僚や部下、非常勤講師などは意味のない超非効率的な方法に付き合わされたりすることがあります。
ICTを活用すれば5分で終わることを1時間かかる方法でやらされたりとか…。
もしこのコロナ禍でも変革の兆しが全く見えていないようなら、こういう学校で働き続けるのは時間がもったいないかなあと思います。
日本語教師の仕事効率化の方法について詳しく知りたい方はこちら↓
3. 業務委託契約を盾に非常勤が酷使されている
非常勤講師として日本語学校で働く場合、以下のどちらかの契約を結ぶことが多いと思います。
②業務委託契約
業務委託契約についてですが、
この契約形態になっている場合、授業とそれに付随した業務(授業準備+採点等を含む授業後処理)はコマ給に包括されている場合が多いので、(基本的には)何時間採点や添削をしてもそれを給料に反映してもらえません(詳しくはまた別記事で書きます)。
よく
「サービス残業で採点させられるのはおかしい」
という非常勤講師がいるのですが、この、授業後処理がコマ給に含まれている業務委託契約の場合、もちろん色々限度とか細かいルールはあるのですが、
基本的には残業という概念はないんですよね。
それを知らない非常勤講師は結構多いです。
だから、これをいいことに非常勤講師に多くの授業付随業務をやらせている学校は結構あるようです。
契約に関する知識がなければ、採点に手当を出せと言ったとしても、
「業務委託契約なので出せません」
と言われたら、何も言えなくなってしまうからです。
4. 常勤のサービス残業が常態化している
この記事↓でも書きましたが、日本語学校の常勤講師の仕事は多岐にわたります。
適切な人数の常勤講師が配置されていたり、非常勤講師や事務職員とうまく分業ができていたりすれば問題ないのですが、少ない人数の常勤講師で多くの仕事を回さなければならない劣悪な環境の日本語学校もあります。
法務省告示基準で、常勤講師の最低必要人数は定められていますが、それを守っていなかったり、書面上は守っているが実質は常勤講師として登録されている人が別の部署で別の業務にあたっていたりする場合もあります。
5. 仲介業者が学校を支配している
最後に、経営者以上に力を持ち得るのは、「送り出し機関」や「エージェント」などと呼ばれる、入学候補者と日本語学校を仲介する現地業者です。
日本語学校の収入の大部分は入学者の学費に頼っていることが多いです。
そして、入学者をクチコミ等の評判だけで十分確保できる学校はほとんどありません。
そのため、現地の高校や大学・専門学校などと繋がりのある仲介業者と提携し、仲介料を払うことによって、入学者を紹介してもらうという手法がとられています。
このような関係性から、入学者の学費と、現地仲介業者への依存度が高ければ高いほど、仲介業者が日本語学校に対して持つ力は大きくなります。
だから立場の弱い日本語学校では、仲介業者から無茶な要求をされても、
(仮に断って)「じゃあもう学生送らなくてもいいですか〜?」
と言って関係を切られたら経営自体が難しくなるので対応せざるを得ず、その結果現場の日本語教師に負担がいくという状態になっています。
ー
…いかがでしたか。
最近では待遇や労働環境が徐々に改善されている学校も増えてきましたが、このような状況に陥っている日本語学校もまだまだあるようです。
最近の日本語教師の待遇や労働環境について、詳しくはこちら↓
日本語学校への就職を目指す方は、十分に学校選びに時間をかけて、自分の働き方に合ったところを見つけてください。
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仕事効率化はこちら↓
検定の勉強にオススメの参考書はこちら↓
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