これまでの記事の中で、業務委託契約の話が何度かありましたが、日本語教師の業務委託契約について知りたいです。
日本語教師の契約形態にはいろいろありますが、非常勤講師の場合、大きく分けて
✔️業務委託契約
の2つの形態があります。
以前の調査では、非常勤講師の方のうち、
約57%は雇用契約、約23%は業務委託契約
という結果でした(↓記事のQ8参照)。
今回は、他の記事でも何度か話を挙げていた
業務委託契約の注意すべき点
について、簡単に書いていきたいと思います。
1. そもそも業務委託契約って?
日本語教師は残業が多すぎる!
授業準備や授業後の採点に、なんで時給が出ないの?
このような話はこの業界にいるとよく聞きます。
でも、実は日本語教育業界で、特に非常勤講師やフリーランスとの契約でよく使われている
業務委託契約
では、そもそも基本的には「残業」という概念が存在しない場合があります。
業務委託契約とは、雇用関係を結ばず、ある業務を企業または個人に委託し、その完成に対して報酬を払う契約です。
例えば、学校側は
「1日45分×4コマの授業を遂行する」
という仕事を依頼し、講師はそれを全うすることによって、コマ給を受け取ります。
この時学校(会社)と講師の間には雇用関係はありません。
「1日45分×4コマの授業を遂行する」という単発の仕事を「外部(とみなされる講師)」に依頼しているわけです。
半年間、非常勤講師として授業をしてもらう場合、学校側はその単発の仕事を継続的に依頼しているという体になります。
ただし、雇用契約にもかかわらず、授業後の採点等には手当が出ていない学校も現実には結構あるようです(記事↓[Q18]参照)。
2. 業務委託契約を結ぶ非常勤側のリスク
業務委託契約の場合、契約段階から
「1日45分×4コマの授業を遂行する」の中に、
授業準備と授業の後処理
が含まれていることが多くなっています。
(契約内容を確認してください)
✔️授業準備
✔️授業
✔️後作業
がセットで委託され、それに対して「コマ給」を支払う契約になっていることが多い!
つまり、準備から授業、授業後の後処理まで含めて提示の金額で依頼されているので、基本的には残業代という概念はありません。
「採点」を1時間でやっても3時間かけても同じです。
(逆にいえば採点等に時給で手当が支払われる場合は、仕事量が決まっていないので、採点に3時間かけた人は、1時間で終わらせる人と同じ仕事量で3倍の給料がもらえるという皮肉)
もちろん、業務委託契約にも色々あって、
❌拘束時間を決めて働かせる
❌あまりにも多くの採点や授業準備を強要している
などの場合は、偽装請負とみなされ、残業代の請求が可能になる場合もあります。
ただそこの部分を知らないまま、冒頭のような主張をしても、
「業務委託契約なので残業代はお支払いできません」
の一言で片付けられてしまうことが多いのが現実です。
最近では、この記事の冒頭で述べたように、非常勤でも雇用契約を結んで有給休暇を付与したり、残業代を支払ったり、採点等の後処理業務には別手当を出したりする学校も少しずつ増えてきました。
これから日本語教師としての就職を目指す人や、違う学校に移ろうと考えている人は、そういう学校を探してみるのもいいかもしれません。
いずれにしても、
自分の契約内容と契約形態をよく知っておくことが大切だと思います。
3. まとめと注意点
…いかがでしたか。
雇用契約や業務委託契約については、様々な法律や規定、例外などがあるので、ここに書いたことが全ての学校や企業に当てはまるわけではありませんので、何かアクションを起こす時は、事前にご自分の契約や状況をよく確認するようにしてください。
✔️手当が充実している学校をリサーチする
✔️疑問点があれば信頼できる人に相談する
✔️改善されなければ違う学校を探す
このツイート↓にも書きましたが、業務委託契約の名の下に、日本語教師が搾取されない業界にしたいものです。
同時に、教師側も労働効率を上げ、仕事の質を高めることによって、業務委託の単価の底上げを図ることも、必要なのではないかと思います。
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