外国人から見ると、日本語ってどんな特徴があるのでしょうか。
今回の記事では、外国人学習者から見た日本語の特徴について書いてみたいと思います。
「日本語は世界で最も難しい言語の1つ」と言われることもありますが、外国人は日本語にどのような印象を持っているのでしょうか。
日本語がほかの外国語と比べてどのような特徴を持っているかというのは、普段無意識に使っていると意外と気がつきません。
今回は、実際に外国人の日本語学習者から聞いた印象も含めて、特に外国人が不思議に思う部分や、習得に苦労する部分にフォーカスして、日本語のユニークな特徴をご紹介します。
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0.日本語って実際難しいの?
「日本語は世界の中でも難しい言語だ」とよく言われますが、本当にそうなのでしょうか。
様々な数え方がありますが、一説によると世界には約7000もの言語があると言われています。
その中で日本語は、約1億2500万人ほどの話者がおり、世界でも10位前後の話者数を誇ります(ほぼ日本人だけど)。
では、日本語はどの程度難しいと言えるのでしょうか。
アメリカのある調査では、ある言語を英語話者が話したり読んだりできるようになるのに必要な期間(=要は習得の難易度)によって、言語のカテゴリ分けが行われました。
その中で、日本語は唯一最も長い期間が必要な「カテゴリ5*」(2200時間以上)に分類されました。
言語レベルや習熟度については様々な解釈があり、また言語習得の難しさは学習者の母語によっても大きく異なるため、一概には世界で一番難しいとは言えませんが、この結果を見ると日本語は(少なくとも英語話者にとっては)難しい部類に入ると言うことができます。
では、日本語のどのような特徴が外国人にとって難しいのでしょうか。具体的に見ていきましょう。
1.文字の種類が異常に多い
例えば英語はa~zの26文字アルファベット(と数字)だけで全てを表しますが、日本語は、ひらがなだけでも50個弱、それに濁音や半濁音が加わって、それと同数のカタカナもあります。
さらに漢字は小学校で習うものだけでも、1000個以上あります。
そこにアルファベットも結構使う… と考えると、日本語の文字数がいかに多いかが分かると思います。これだけで日本語を学ぶ外国人にはかなりのハードルと言えますね。
以下のように、実際に外国人の日本語の上達を、文字数の多さが妨げている場面も多く見受けられます。
・ゼロ初級の段階で、ひらがなとカタカナがなかなか覚えられずに足踏み
・漢字が出てくると、問題文や例文が読めなくなる
・漢字の量が増えてくると、読解の文章を読み進めるのにかなり時間がかかるようになる
・漢字を書くのを諦めて、作文やテストでも全部ひらがなで書くようになる
2.主語の省略が頻繁に起きる
日本語(特に会話)では、主語(動作主)の省略が頻繁に起きます。
以下の会話を見てください。
A「C君が転校するって話、聞いた?」
B「聞いた聞いた。びっくりしたよ。親の転勤で東京に行くらしいね」
A「もう今週末行くらしいよ。昨日Dくんから聞いた」
日本人が見たらそれほど違和感はない会話だと思いますが、よく見てみると「(Bが)聞いた」「(Bが)びっくりした」「(Cが)行く」「(Aが)聞いた」とほとんどの動詞の主語が省略されています。
これは外国人にはなかなかの難易度です。
なぜなら、英語や中国語、ベトナム語等の外国語ではあまり頻繁に主語の省略が起きることはないからです。
実際に学習者と一緒に文章を読んでいても、「誰がその動作をしたか」という部分を誤って読み取ってしまっていることがたくさんあります。
3.漢字の読み方が異常に多い
日本語の漢字は基本的にどれも複数の読み方を持ちます。
たとえば、以前ツイートした「文」という漢字は、「ぶん・もん・も・ふみ・あや」という読み方があります。
また、漢字自体は初級で習うことの多い「生」は、「生命」「一生」「生卵」「生きる」「生える」「生まれる」「芝生」「生い立ち」…
など、全く異なる読み方がたくさんあります。
外国人の日本語学習者は「やっと漢字の形と読み方を覚えたと思ったら、また別の読み方が出現して間違えてしまう」という困難の繰り返しに苦労することも少なくありません(というかほとんどの人がそう)。
4.母語と同じだ!と思ったら微妙に使い方が違う
日本語には、外来語が多くあります。
一見するとこれらは学習者の言語にもある言葉なので、理解の助けになるのではないか?と思いがちですが、
・本来の意味から使い方が変化した言葉
・外来語っぽく見えるけど実は日本で作られた言葉
もたくさんあるんですよね。
例えば、日本語の「バイキング」は一般的に「食べ放題」を指しますが、英語で「Viking」は昔の海賊を指すというのはよく知られています(その影響か今は「ビュッフェ」と言うのが一般的になりました)。
そのほかにも、以下のような例があります。
【1】アルバイト
ドイツ語で「仕事」を意味しますが、英語話者には通じません。
英語では「part time job」と言います。
【2】クレーム
「苦情・不満」のような意味で使われますが、英語では「主張」や「要求」を指します。
「苦情」・「不満」と言いたいときは、「complaint」を使うのが普通です。
【3】(車の)ハンドル
英語ではドアノブや取っ手を意味します。
ハンドルは通常、「steering wheel」と言います。
【4】タレント
英語では、「才能」や「センス」を意味します。
TVタレントは、「TV personality」などが用いられます。
このような言葉の多くは、外国人が使い方を間違えるのではなく、日本人が「これは通じる」と思って使って、それを外国人が異なる意味で解釈してしまう、という場合が多いと思います。
また、漢字の言葉についても、日本に入ってきてから意味が変わったものや、日本で独自に作られた言葉が色々あります。
例えば、中国語を例にとると、以下のような意味の違いがあります。
言葉 | 日本語での使われ方 | 中国語での使われ方 |
---|---|---|
愛人 | 不倫関係にある相手 | 配偶者、恋人 |
輸入 | 海外から貨物を買い入れること | 携帯やPCでの「入力」 |
捜索 | 行方不明者などを探す | インターネットでの「検索」 |
言葉(漢字)は同じですが、意味用法は全く違いますね。
このように、「外国語と共通していて、一見外国人には便利そうに見えるけど、実はそれがかえって誤解を招く言葉」が、日本語にはたくさんあります。
これは外国人にとっては分かりにくいものです。
5.日本語は曖昧で結論が分からない
外国人学習者がよく口にする日本語の特徴が、「日本人は曖昧な言い方をよく使う」「言いたいことを最後まで言わない」「何が言いたいか、どんな立場なのかはっきりしない」という点です。
初級の日本語の授業でよく出てくるフレーズに
○○はちょっと…
という言い方があります。
これは日本人が何かを断るときや、賛同できないことを伝えるときによく使う言い方です。
A:土曜日、一緒にご飯行かない?
B:ごめん、土曜日はちょっと…(ムリ)
日本語には、このように曖昧に断ったり、不満を伝えたりする表現がたくさんあって、外国人が正確にその意図を汲み取ることは難しい場合が多々あります。
そのほかにも、以下のような言い回しは外国人を混乱させることがあります。
・「それは、ちょっとどうなんでしょうね」(違うと思います)
・「良かったんじゃないかな」(まあそんなに興味ない)
・「袋要りますか?」-「大丈夫です」(要りません)
・「行けたら行きます」(行かない)
・「また今度ね」(行かない)
・「それはちょっと難しいかもしれないです」(ムリです)
・「前向きに検討いたします」(ムリです)
まとめ
いかがでしたか。
今回は、外国人が難しいと感じる日本語の特徴を5つ紹介しました。
ただ、これ以外にも、外国人が習得に苦労する日本語の特徴はまだまだたくさんあるので、残りについては【Part2】で紹介したいと思います。
以下の記事を続けて読んでいただけると嬉しいです。
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