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【外国人泣かせ】外国人が使いがちな「文法は正しいけどちょっとヘンな日本語7選」

ちょっと変な日本語を紹介。

外国人の日本語を聞いていて、不自然に感じることがときどきあります。でもなぜ不自然か分かりません。

日本語を母語としない外国人学習者は、当然日本語を間違えることがあります。
(日本人でも丁寧な言い方やビジネス用語、ややこしい類義語などを間違えることはよくありますよね)

このブログでも、語彙や文法について、外国人学習者によく見られる誤用を何度か紹介してきました。

ただ、今回は単なる外国人学習者の誤用ではなく、

外国人がよく使ってしまう、「文法は問題ないが、日本人はあまり使わない不自然な日本語」

を例文を交えながら紹介します。

私たちも、外国語を使うとき、「どの表現が自然か?」「ネイティブはどう言うか?」を瞬時に判断するのは難しいですよね。

今回は、外国人が使いがちだけど、日本人が聞くと何となく違和感がある日本語をまとめました。この記事の内容をチェックして、日本語を外国人に教えるときに役立ててもらえれば幸いです。

ご自身の外国語学習のヒントにも、なるかもしれません!

こんな人にオススメ!

✔️外国人が使う日本語をなぜ不自然に感じるのか知りたい!
✔️外国人がどんな不自然な日本語を使ってしまうのか知りたい!
✔️日本語を勉強している外国人に、自然な表現を教えてあげたい!

1. 知らない人が私の財布を盗んだ|受身と動作主

下の例文は、学習者の実際の発話です。

「先生、昨日知らない人が私の財布を盗みました」
「メールの返事をしなくて、彼女が怒りました」

文法的には何ら問題はないものの、何か違和感がありますよね。

日本語には、できるだけ「自分(話者)」を主語に置こうとする傾向があります。

でも、英語等の外国語では、自分よりも動作主(動作を行った人)を文の主体にするのが普通の場合も少なくありません。

そのため、特に受身(~される)や使役(~させる)、使役受身(~させられる)などの文法表現は、日本語を勉強している外国人にとって「誰を主語にするのが自然か」という部分の判断が難しいものと言えます。

実際に例を見てみましょう。

下のイラストを見てください。

もし自分が青い服の子供で、スーツの男性があなたの先生だったら、この状況をどのように表しますか?

日本人は、このイラストのような状況を誰かに伝えるとき、多くの人が「(私は)先生に怒られた」と表現すると思います。

また、人対人の受身文は比較的単純ですが、

・使役受身の文(例:先生に宿題をやらされた)を使う場面
・英語等では無生物が主語になる場面
(例:This movie made me cry – この場合、日本人なら「この映画は私を泣かせた」とは言わずに、「この映画を見て(私は)泣いた」と「私」を主語にして言う)

などでは、学習者には「誰(何)を主語に置いて話せばいいか」の判断が難しく、迷ってしまうことが多い印象です。

日本語教師をやったことがある人なら、この部分の教え方に悩んだことが1度はありますよね。

特に受身・使役・使役受身は活用の変化もややこしいので、学習者も苦労するところです。

<自然な言い方の例>
→(私は)知らない人に財布を盗まれた。

2. 国に帰っても、日本語の勉強が続きます|自他動詞の使い分け

こちらは、日本語の自動詞・他動詞の問題です。

「開く」と「開ける」、「続く」と「続ける」など、自動詞と他動詞の使い分けは外国人泣かせです。

・外国語では、1つの単語が自他動詞両方の役割を担う場合が多いこと
・自他動詞の使い分けは、単に自動詞か他動詞かだけでなく、様々な要素が絡むこと

などが原因です。

例えば、下のイラストの状況はどのように表現しますか?

多くの日本人は、「ドアにぶつかって、ガラスが割れてしまった」と言うと思います。

ガラスを割ったのは自分自身です。

でも、このような状況では、過失の責任の所在や、非難される対象(が自分であること)をあまり明確にしないのが日本語の特徴です。

そのため、意志的に聞こえ、「私がやった」ということを明確にしてしまう「ガラスを割りました」はあまり使いません。

見出しの例文は逆に、自分がやりたいと思ってやることなので、自動詞を使うのは不自然に感じますよね。

これは自動詞・他動詞の見分け方や覚え方の問題だけではなくて、「どのような場面で自動詞/他動詞を使うか」が十分に理解できていないことが原因です。

この使い分けを身につけるためには、単にテキストで勉強するだけではなく、様々な場面での自他動詞の使い分けを練習できるアクティビティを何度もこなしたり、実際の日本人との会話の経験を積んだりすることによって、見分け方・使い分けを勉強し、身につけていく必要があります。

<自然な言い方の例>
国に帰っても、日本語の勉強を続けます。

3. 母が私に電話をかけた|話者に向けた動作

他人の動作が自分に向けられたもの/自分のいる方向に向かって行われるものであるときは、単に「~する」ではなく、「~してくる」を使うことが結構あります。

以下の例文のように、移動の動詞はそれが顕著です。

・(自分が教室にいる時)A君が教室に入ってきた。→入った△
・B君が私の方へ走ってきた。→走った△

それ以外にも、「C君が(私に)話しかけた」ではなく「C君が(私に)話しかけてきた」のように、動作の対象が自分であるときは、よく「(人が私に)~てきた」という形を使います。

ただ、電話の場合は実際に移動している訳でもないし、英語でも「My mom called me」のように単純に表すので、この場面で自然に「~てきた」を使える外国人は少ないです。

でも、私たち日本人は、「母から電話がきた」ということはあっても「母が(私に)電話をかけた(した)」ということはほとんどないですよね。

<自然な言い方の例>
母が(私に)電話をかけてきた。

4. あなたは元気ですか?|二人称の難しさ

日本語では、友達や家族(あるいは同僚や上司でも)に対して、「あなた」という二人称を使う頻度は高くありません

以下の例文のように、聞き手について言及するときは、その人の名前やニックネームなどを呼ぶのが普通です。

田中:趣味は何ですか?
鈴木:サッカーです。田中さんは?
田中:僕はキャンプです。

これを

田中:趣味は何ですか?
鈴木:サッカーです。あなたは?
田中:僕はキャンプです。

とすると、かなり違和感があると思います。

友達だからといって、「きみ」と呼ぶことも少ないですよね(「お前」は結構ある)。

また、上司やビジネスの相手など、目上の人・丁寧な言い方を使うべき相手に対しては、「あなたは…」と言うと失礼に感じられるため、更に使用頻度は下がると思います。

<自然な言い方の例>
〇〇さんは元気ですか?

5. 気持ちが悪いです|feel badはどう言う?

これは様々な国の人が使っているのをよく聞きます。

多くの場合、学習者が言いたいことは「体調が悪い」か「嫌な気持ちだ」ということです。

ただ、日本人はこのような意味で、この「気持ちが悪い」というのはあまり使いませんよね。

「気持ち悪い」を使うのは、以下のような場合が普通です。

・「(飲みすぎ・車酔い等で)吐きそう」なとき
・「(見た目や言動が)グロテスク・嫌悪感を抱かせる(要は「キモイ」)」とき

ただ、英語の「feel bad」や中国語の「心情不好」などをそのまま日本語に翻訳しようとすると、「気持ちが悪い」と言いたくなるようです。

また、「気分」や「調子」「体調」より「気持ち」という言葉の方が定着率が良い(知ってる人が多い)というのも一因として挙げられます。

いずれにしても、母語の言い方に近い日本語を探すと、最初にこの表現にたどり着いてしまう人が少なくないようです。

<自然な言い方の例>
・体調/調子が悪いです。
・悲しい/嫌な気持ちです。
・気分が悪いです(不快)。

6. Aさんは国に帰りたいです|心が読める?

「~たい」は人の欲求や願望を示す表現ですが、日本語では基本的に自分以外の欲求や願望を表すのに、例えば「田中君は家に帰りたいですとは言いません

普通第三者の欲求や願望を表すときは「田中君は家に帰りたがっています」のように「がる」という表現を使ったり、「田中君は家に帰りたいみたいです」とか「田中君は家に帰りたいと言っています」と言います。

ただ、日本語では主語が自分かそれ以外の人か、また単数か複数か等によって動詞の活用が変化することはあまりありません。また、この部分を区別して翻訳してくれるサイトやアプリはまだまだ少ないです(DeepLはいけた)。

だから、この(多くの場合外国語では動詞として扱われている)「~たい」が「~たがる」に変化するという点を理解して使いこなせる人は少ないです。

<自然な言い方の例>
Aさんは国に帰りたがっています。

7. ははは!(笑い声)|マンガと小説でしか見たことない

これは話すときではなく、文を書いたりメッセージのやり取りをしたりするときによく見られる表現です。

海外には、英語の「haha」、中国語の「哈哈哈」のように、笑い声をそのまま文字表記する言語がたくさんあります。

でも日本人は(おじさん構文とかでは時々あるけど)笑い声をそのまま文字にすることって少ないですよね。

例えば「w」とか「(笑)」とか「草」みたいに、直接的な笑い声とは別の方法で表現することが多いと思います。

「ははは、それおもしろいね」ってメッセージが来たら日本人としては少し違和感があると思います。

ただこの辺りは授業で外国人に教える機会もあまりないので、母語でやり取りしているときと同じ感覚で「ははは」と送ってくる学習者も少なくない印象です。

<自然な言い方の例>
・(笑)
・www
・草

まとめ

いかがでしたか。

今回は、「間違いではないけど日本人はあまり使わない不自然な日本語表現」を7つ紹介しました。

外国語学習がある程度のレベルまで達するとみんな必ず苦労するのが、「どんな言い方が自然なのか」「ネイティブはどんな表現を使うのか」ということです。

余談ですが、日本のアニメやドラマ、マンガが(とても)好きな人(で、日本語でそれらを長期間視聴してきた人)は、この「自然な表現を選ぶ」というスキルに長けていることが多いです。

アニメやマンガなどの場合は、場面や人物の関係を理解した上で日本語を聞くので「この場面ではこの言い方が最適」というのが理解しやすいからだと思います。

ただ、アニメ表現を十分に理解しないまま身につけて、先生に対して

「君のオススメ教えてよ」
「これは中国の有名なお土産だよ」

みたいにくだけすぎた表現を使ってしまう人も一定数います。

この記事で出した例は、これ以外にも外国人が使いがちな「ちょっとヘンな日本語」を見つけるヒントにもなると思います。

外国人の日本語学習サポートにぜひ役立ててください。

よくある語彙の誤用をまとめた記事はこちら↓

Part2とPart3のリンクも↑の記事内にあるので、併せてチェックしてみてください。

初級文法のよくある誤用をまとめた記事はこちら↓

新人日本語教師におすすめの本はこちら↓

日本語教師×ICTに特化した本はこちら↓

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