【文法・語彙】類似表現の違いの質問にはこう答える!

日本語の類似表現の違いの説明。

「AとBはどう違いますか?」と急に聞かれて、困ってしまうことがよくあります…

実際に日本語教師として教壇に立った経験のある人なら分かると思いますが、おそらく授業中に学習者から最もよく聞かれるのはこの

「AとB(類似表現)はどう違いますか?」

という質問だと思います。

さらに言えば、最も日本語教師のスキルや知識に差が出やすいのも、この質問への答えなのではないかと思います。

そこで、今回の記事では、「AとBはどう違いますか?」と聞かれたときの基本的な考え方と、簡潔にわかりやすく答えるコツを紹介したいと思います。

この記事で分かること!
・文法や語彙の違いを聞かれたときの答え方のポイントが分かる!
・学習者からの質問に簡潔に答えられるようになる!

1. 違いの質問には、「使えない文脈」を答える

結論。

「AとBの違いは?」と聞かれたら、

Aは使えるけど、Bは使えない場合

を答えてください。

語彙の場合であれば、共起する言葉の種類に注目します。たとえば、共起する言葉が

✔️プラスの意味を持つ言葉か、マイナスの意味を持つ言葉か
✔️動作Nか、普通Nか
✔️動作主が人間か、そうじゃないか

この違いに注目して、例えば

Aはプラスの言葉もマイナスの言葉も一緒に使える。でもBはプラスの言葉しか一緒に使えない

のような形で説明することで、簡潔に違いを伝えることができます。

文法の場合は、前後の文脈の違いに注目してみてください。たとえば

✔️プラスの内容か、マイナスの内容か
✔️話者の意志行動か、出来事・事実か
✔️話者の推測か、既成事実か

これも語彙と同様に

Aの表現の前には、話している人の意志行動しか来ない。でもBは意志行動以外にも使える

のように文法表現の前や後ろに入る内容の制限の違いを説明すると分かりやすいです。

(もちろん学習者のレベルに合わせて伝わるように説明に使う言葉や例文を選んでくださいね)

類義語の違いの見分け方について、もっと詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてみてください↓

また、学習者の誤用にも、類似表現の違いを見つけるヒントがたくさん隠されています。
「なぜ誤用になるのか」「じゃあ、この文脈ではどんな言葉に置き換えればいいか」を考えれば、その2つの言葉の違いが分かります↓

文法の違いを見つけるヒントは、こちらの記事にまとめてあります。
参考にしてみてください↓

2. 同文脈中での違いの説明は要らない

類似表現の違いの説明がうまくいかない原因の1つとしてよくあるのが、同じ文脈上で使われたときの微妙な違いについて頑張って説明してしまうことです。

2つの類似表現が同じ文脈で使えて、大体の意味や用法が共通している場合、

実は同文脈上の違いの説明には、たくさん時間をかけてもあまりメリットがありません

大学院で日本語を専攻したい人や、N1取得後の人、通訳を目指している人などに教えているのなら別ですが、そうでない場合はここに重きを置く必要はありません。

その理由を簡単に説明します。

①JLPTでは2つの表現が両方OKということはあり得ない

JLPTの言語知識セクションでは、似たような表現が選択肢として出現しますが、同じ文脈で大体同じ意味で使える2つの表現が、1つの問題の選択肢として出題され、そのどちらかが正答ということはほぼありません。

もしそんな問題があったら、どちらの選択肢も正答になり得るからです。

JLPTで出題される類似表現は、1.で述べたような文脈による制限の違いが明確であり、その問題の文脈では、どちらか一方しか使えないものだけです。

だから、同じ文脈で使われた時の微妙なニュアンスの違いを知っていても、文脈や共起語の制限の違いを知らなかったら、その2択から1つに答えを絞り切ることができず、JLPTの問題は解けません。

仮にほぼ同じ使い方の言葉/文法表現が選択肢にあったら、それは両方誤答の可能性が高いと教えるのが◎です(例えば「〜につれて」と「〜にしたがって」が1つの問題の選択肢として両方出ている場合とか)。

②普段の生活でその使い分けが求められる場面がない

日常生活で、例えば「いま家についたばかり」と「いま家についたところ」の違いの区別が求められる場面って、おそらくないと思います。

日常生活でまず大事なのは

【A】

・言いたいことを相手に分かるように伝えること
・相手の言っていること/書いてあることが大体分かること

その上でさらにレベルアップするなら

【B】

・心理状態や態度をより細かく伝える
・場面や状況にあった言い方を使ってより円滑にコミュニケーションする

とかそのあたりです。

Aについては「ある程度の文法や語彙量と、1.の知識」

Bについては「使えない文脈や相手、状況を理解していること」

が必要です。

だから、2つの表現が大体同じ意味で使える場合の違いを理解していても、日常生活でそれが役に立つことはあまりありません。

日本人でもその区別が求められることってほぼないですよね。

③そもそも学習者に伝わらないし伝わっても使いこなせない

上に挙げた「ばかり/ところ」の場合、

・「ところ」は客観的にみて経過時間が短いときしか使えない
・「ばかり」は話し手が短いと感じていたら使える(主観的でも許容)
→「1年前に日本に来たばかり(話し手が短いと思っている)」はOK
→「1年前に日本に来たところ」は×
→「昨日日本に来たところ/ばかり」は両方OK

というのが大体の違いで、この違いは、この文法を教えるレベルの学習者は大体理解できます。

でも、「さっき家に着いたばかり/ところ」とか、「昨日日本に来たばかり/ところ」の違いを説明しようとすると、かなり抽象的になってしまい、学習者も理解できずに終わってしまいます。

理解できたとしても、「何となく分かった」だけで、それが明確に使い分けられる人はほぼいないと思います。

3. まとめ

いかがでしたか。

類似表現の違いの説明は、どのレベルでも付き合っていかなければならないものですが、この「使えない文脈・共起語」に注目して知識を蓄積していくと、文法や語彙分析自体も速くなるし、質問にも簡潔に答えられるようになると思います。

また、さまざまな文法や語彙についてこれを調べていくと、実はよく出てくる「前後件の制限・共起語の制限」が結構あることに気が付きます。

(詳しくはこちらの記事をどうぞ↓)

それが分かってくると、準備していない質問が不意に飛んできても、その知識を当てはめて瞬時に違いを見つけることができるようになるし、授業中の急な鋭い質問も怖くなくなって、余裕が生まれてくるはずです。

みなさんも、良ければこの考え方を参考にして、授業準備や授業で実践してみてください。

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