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【日本語の助詞】日本語教師が格助詞の種類や使い方を簡単に解説!

日本語の助詞の解説。

日本語の助詞が難しいです…

普段使っているものなのに、なかなかすっきり整理できません。

外国人が日本語を学ぶ上で、初級から上級まで苦労するのが、日本語の「助詞」の使い方です。

助詞とは、単体で使うことはできないが、言葉や文にくっつくことによって意味を付加したり、単語と単語の関係を示したりする言葉のことを言います。

助詞は基本的に「格助詞」「副助詞(取り立て助詞)」「終助詞」の3つに分けられます。

今回の記事では、特に外国人が習得に苦労する「格助詞」に絞って、その種類と使い方等を簡単に解説します。

こんな人にオススメ!

✔️日本語の助詞の機能と役割が知りたい!
✔️外国人に助詞を分かりやすく教えたい!
✔️日本語や日本語教師の仕事に興味がある!
✔️助詞の用法の見分け方が知りたい!

Contents

0. 格助詞とは?種類はどれぐらいある?

格助詞とは、簡単に言うと、言葉と言葉の関係や役割を規定する機能を持つ、「が」や「を」などの助詞のことです。

例えば、「公園」という言葉は場所を表しますが、後続する格助詞によってその役割が変化します。
格助詞の役割が分かる例を見てみましょう。

(1)公園行く(到達する地点)
(2)公園遊ぶ(動作を行う場所)
(3)公園作る(動作の対象)

この3つを見れば分かるように、同じ「公園」という言葉でも、格助詞によって役割が変化し、後続の動詞との関係が異なっています。

また、助詞を見れば、前にある言葉がどんなものなのかを推測することも可能です。
例えば、1つの意味が分からない言葉「エリストッツォ」があったとしましょう。

そんなときでも、助詞があることによって、その意味を推測することができます。

(4)エリストッツォ食べる(食べ物)
(5)エリストッツォ食べる(場所)
(6)エリストッツォ食べる(人)

このように、格助詞は私たちが発する文全体の意味と機能を形作るとても重要な存在です。

基本的に日常生活で良く使われる格助詞は「が・を・に・へ・と・で・の・から・より・まで」の10種類です。

今回はこの10種類の格助詞(+1)が持つ意味と用法を簡単に整理していきましょう。

外国人学習者への教え方の参考にもなると思うので、「格助詞は知ってるよ」という日本語教師の方もぜひ読んでみてください。

1. 主体(主語)を表す助詞「が」

(1)田中さん家に来た。
(2)この本一番分かりやすい。

上の文のように、「が」はその前にある名詞が述語(動詞や形容詞等)の主体であることを表します。

(1)で言えば、「家に来たのは山田さんでも今野さんでもなく、田中さんだ」ということが「が」によって規定されています。

要は「が」の前にある名詞が、その文の主役であることを表すのが「が」の役割であると言えます。

ちなみに…

「が」には「願望や感情の対象」を表す用法もあります。
(3)私は水飲みたい。
…「飲みたい」という願望の対象
(4)私はお化け怖いです。
…「怖い」という感情の対象

2. 動作の対象を表す助詞「を」

次に、「を」が持つ用法を見ていきましょう。

【1】基本的な使い方 -動作の対象-

(1)ケンが僕のスマホ壊した。
(2)ジョンは毎日本読んでいる。

「を」は後ろにある動作の対象を表します。

(1)であればケンが壊したのは「僕のスマホ」であることを表し、(2)はジョンが毎日読んでいるのが「本」であることを表します。

「を」のその他の用法には、以下のようなものがあります。

【2】起点・出発点

(3)マリアは毎日7時に家出ます。
(4)私は去年大学卒業しました。

動作が始まる場所や出発点を表します。

(4)のように、元々いた場所を離れることを表す場合もあります。

【3】通過点・経路

(5)この公園抜ければ駅に着く。
(6)僕は毎日この公園通って帰る。

動作の途中で通過する点を表します。

(5)で言えば公園が駅に着くまでの通過点、(6)は家に帰るまでの通過点になっています。

3. 様々な用法を持つ助詞「に」

「に」は様々な意味と用法を持っています。

主に使われるものをピックアップして簡単に解説します。

【1】存在や滞在の場所

(1)駅の近くおいしいカレー屋さんがある。
(2)祖父は○×病院入院している。
(3)その時は駅の近くのホテル泊まった。

「いる・ある」など人やもの等の存在を表す動詞や、「泊まる・滞在する・入院する」など、一定期間その場所に留まることを表す動詞と共起します。

【2】動作が行われる/出来事が起こる時

(4)明日の19時家に行くね。
(5)日曜日突然母がうちに来た。
(6)11月スピーチ大会がある。

時間や曜日、年月などの後に付き、動作や出来事が起こる時点を表します。

【3】動作が行われる相手

(7)山本さんメールを送った。
(8)祖父が詐欺に遭ったようなので、警察相談した。
(9)分からなかったので、授業後先生質問した。

行われた動作を受け取る相手を表します。

(7)の場合、「送った」の対象は「メール」ですが、「メールを送った」という動作を受け取るのは「に」が付いている「山本さん」になりますね。

【4】主体や対象の到達点

(10)有名歌手が来るので、空港大勢のファンが集まっている。
(11)ポスターを壁貼った。

動作の結果、主体や対象がどこに移るかを表します。

(10)の場合「集まる」という動作の結果「大勢のファン」が到達した点が「空港」、(11)は「貼る」という行為の結果、ポスターが収まった場所は「壁」です。

【5】移動の方向・目的地

(12)今日は市役所行かないといけない。
(13)友達がどこにいるか分からなかったので、とりあえず駅の方向かった。

多くの場合、この用法は「へ」と置き換え可能です。

「行く」「向かう」など、移動を伴う動詞と共起します。

【6】移動の目的

(14)渋谷へ買い物行った。
(15)学生が進路の相談来た。

「行く・来る・帰る」など、移動を表す動作の目的を表します。

(14)は渋谷へ行った目的が「買い物」、(15)は学生が来た目的が「進路の相談」ですね。

【7】その他の用法

「に」には他にも以下のような用法があります。

■原因や理由
(16)新人のA君の仕事の速さ驚いた。
■範囲や基準
(17)1週間2回ぐらい外食します。
■使役や受身の動作主(動作をする人)
(18)弟部屋を片付けさせた。(片づけをするのが「弟」)
(19)知らない人足を踏まれた。(足を踏んだのが「知らない人」)
■変化の結果
(20)アイスが溶けてジュースなっちゃった!

4. 移動の方向や目的地を表す助詞「へ」

(1)毎日学校行く。
(2)海の方向かった。

「へ」は基本的に「行く」「来る」「帰る」など移動を伴う動詞と共起し、移動の方向や目的地を表します。

ほとんどの場合「に」と置き換えが可能です。

5. ともに動作を行う人を表す助詞「と」

次に、助詞「と」の主な用法を紹介します。

【1】基本的な使い方

(1)友達ご飯を食べた。
(2)母旅行に行った。

「ご飯を食べる」「旅行に行く」などの動作を、一緒に行う人(や動物)を表します

この用法の場合、次に紹介する【2】とは異なり、「と」の後ろに「一緒に」を入れてもそのまま使えます。

【2】相手がいないと成立しない動作や出来事の場合

(3)本橋さんは、マリアさん結婚した。
(4)昨日彼氏ケンカした。

(3)や(4)の場合、「と」の後ろに「一緒に」を入れることができません。

(1)や(2)は1人でもできることを誰かとともに行う場合の使い方です。

しかし、(3)や(4)は1人で行うことができず、相手が必ず必要な動作です。

どちらも動作や出来事を共有する相手ではありますが、相手が必須かどうかによって、用法の違いがあります。

【3】その他の用法

「と」が持つその他の用法には、以下のようなものがあります。

■並列(同種類のものを2つ並べる)
(5)森さん林さんが来た。
■意見や発言の内容を引用する
(6)僕は大野さんが間違っている思います。
(7)先生は「今日は宿題がありません」言いました。
■差異の有無を示す
(8)僕の意見は彼の意見大きく異なる。
(9)そのかばん、私の一緒だね。

6. 「に」と同様様々な使い方がある助詞「で」

「で」も、「に」と同様に様々な意味・用法があります。
ここでは主なものに絞って紹介します。

【1】原因・理由

(1)事故電車が止まった。
(2)風邪学校を休んだ。

原因や理由を表します。

(1)は電車が止まった原因が「事故」、(2)は学校を休んだ理由が「風邪」ですね。

【2】動作が行われる場所

(3)公園遊ぶ。
(4)横浜友達と会う。

先述のように、「いる・ある・住む・泊まる」など存在や滞在の場所を表すときは「に」を使いますが、動作が行われる場所を表す場合は「で」を使うのが通常です。

【3】手段・方法

(5)今日はタクシー来た。
(6)パソコンレポートを作る。
(7)この設定を有効にすること、セキュリティが強化できる。

何かを行う際に使う手段や方法を表します。交通手段や道具、方法などがよく共起します。

【4】範囲・条件

(8)彼はこの学校一番足が速い。
(9)あとはこのグラフを修正してもらえれば、それOKです。

何かを比較するときの範囲や、許容できる条件などを表します。

【5】材料

(10)この机は段ボール作りました。
(11)「この料理おいしいですね」「そうですか?残り物作りました」

何かを作るときの材料を表します。

【6】その他の用法

その他にも、「で」には以下のような用法があります。

■付帯状況(動作を行うときの状態・状況)
(12)裸ウロウロしないでよ。
■動作の主体、請け負う人
(13)あとはこちら処理しておきますから、大丈夫です。
■動作を行う人数
(14)2人一緒に行こう。
■動作や出来事が成立するまでの時間や期間
(15)あの人はたった1週間会社を辞めてしまった。
(16)あと1時間授業が始まります。

7. 名詞と名詞の架け橋になる助詞「の」

(1)これは私カバンです。
(2)机中には、何も入っていません。

「AのB」で「B of A」の関係を表します。

BがAの所有物である場合や、Bの範囲の中にAが含まれる場合などに使われます。

ちなみに…

「の」は名詞修飾節の中で、主体を表す「が」に置き換わることがあります。

(3)真島さん犯人を見た。
(4)真島さん見た人は犯人じゃなかった。

(3)のように、主体を表す場合は通常「が」を用いますが、(4)の「真島さんの見た人」のように、「真島さんが見た」という部分が後続の名詞(この文の場合は「人」)を修飾(説明)する関係になっている場合、「真島さん」のあとに続く「が」は「の」に置き換えることができます

8. 起点と原料を表す助詞「から」

「から」には主に2つの使い方があります。

【1】起点

(1)たくさんの乗客が電車から降りてきた。
(2)授業は9時からです。

動作が始まる場所や、一定の時間継続する出来事が始まる時などを表します。

【2】原料

(3)このパンは米から作られています。
(4)このTシャツは使用済みのペットボトルからできています。

食べ物などの原料となるものを示す際に使われます。

【3】その他の用法

その他にも以下のような用法があります。

■「が」と置き換わり主体を表す
(5)その点については、私からご説明します。
■範囲の起点を表す
(6)この商社では、紙おむつからミサイルまで、ありとあらゆる商品を取り扱っています。

9. 比較対象を表す助詞「より」

(1)A君はB君より走るのが速いです。
(2)前回より良くできたので、満足している。

「より」は比較の対象を表し、「AはBより…」で「A>B」の関係になります。

「…」の部分には、基本的に動詞か形容詞が共起します。

ちなみに…

「より」には起点を表す用法もあります。
「から」で代用可能な場合が多いです。

(3)本日より、××祭が始まります。
(4)赤津さんより、お土産をいただきました。

10. 終点や限度を表す助詞「まで」

(1)今日は朝から晩まで忙しかった。
(2)この市では、18歳まで医療費が無料です。
(3)今日は大西駅まで歩いた。

「まで」は「から」と対照的に、時間や場所の終点や限度を表します。

また、「まで」には以下のような用法もあります。

■何かの範囲や条件の限度、限界点
(4)この歌は子供からお年寄りまで人気があります。
■予想を超えた範囲であることを表す
(5)泥棒に入られて、高価なものだけでなく、服や布団まで盗られてしまった。

11. 助詞「は」の使い方は?「は」と「が」の違いは?

ここまで格助詞を紹介してきましたが、もう1つ私たちが良く使う助詞に「は」があります。 ただこれは分類的には格助詞ではなく、副助詞(取り立て助詞)と呼ばれるものです。

【1】「は」の基本的な使い方は?

(1)森田さん会社員です。
(2)この絵ピカソが書いた。
(3)先週私がご飯をおごった。

上の例を見ると、(1)では「が」、(2)では「を」を使うべき部分が「は」に置き換えられています。

(3)は格助詞を必要としない部分に「は」が現れています。

「は」は1つの意味や格関係に縛られません

「は」の主たる機能は、様々な格助詞と置き換わり、特定の1つの要素にスポットを当て、主題(話のトピック)とすることです。

(4)魚好きだが、肉好きではない。

また、(4)のように、2つの要素を対比して話す時にも使われます。

その他にも「は」は様々な用法を持ちますが、ここだけでは語りつくせないので、格助詞がテーマの今回は省略します。

【2】「は」と「が」の違いの教え方は?

学習者からよく聞かれる質問の1つに「『は』と『が』の違いは何ですか?」「『は』と『が』の意味は同じですか?」というものがあります。

これは初級でも定番の質問なのですが、上に述べた取り立ての用法など、様々な使い方を初級の学習者に網羅的に教えるのは、時間的にも語彙的にも難しいものがあります。

そこで、初級の学習者に聞かれた際は、私は以下のように簡単に回答しています。
教え方の一例として、参考にしてもらえればと思います。
「は」と「が」の違いの基本として使えます。

①助詞より前が言いたいときは「が」、後ろが言いたいときは「は」

(5)ジョンさん教室にいます。
(6)ジョンさん教室にいます。

(5)は「誰が」教室にいるかが問題になっており、「が」の前の「ジョンさん」という部分が話者が伝えたい内容です。

対して、(6)はジョンさんが「どこに」いるかが問題になっており、「は」の後ろの「教室」という部分が、話者の言いたいことであると言えます。

「は」と「が」の違いが簡単に分かる図を載せた以前のツイート(ポスト)も貼っておきます。

②旧情報を否定するときは「は」

(7)「日本の有名な食べ物と言えば、寿司ですよね」
「そうですね。でも、私、寿司あまり好きじゃないんです」

(7)のように、既に出た情報(この例では「寿司」)について、否定の意見や立場を示す時は、「は」を使うのが通常です。

もちろん例外はありますし、これ以外にも様々な使い方や意味の違いがあります。
ただ、特に初級では、この2つを説明しておけば特に大きな問題はないし、これ以上深入りするのは学習者にも教師にもあまりメリットがありません

なお、「私も好き」「お菓子も食べた」のように、「も」も「は」と同様に格関係に縛られずに出現する取り立て助詞の1つです。

12. 助詞の省略はどんなときに起きる?

ここまでを読んで、「あれ、でも私たちが話すときって、こんなに助詞を使っていたかな?」と思った人は日本語教師の素質があると思います。

実は、私たちが普段会話をしているときには、ここに挙げた格助詞や取り立て助詞の省略が頻繁に起きます。

以下の例を見てください。

(1)私(は)今日体調(が)悪いから学校(に)行かない…
(2)給料(が)低いから、もうこの会社(を)辞める!

(1)(2)の例では、( )内の助詞を省略して話すことが可能です。

書き言葉では助詞の省略は基本的に許容されませんが、話し言葉では言葉と言葉の関係が分かり切っている場合、このように助詞が省略されても意味が通じます

省略できる助詞は、基本的に「は・が・を・に・へ」の5つです。

ただし、省略できない場合もたくさんあります。それについてはまた別の機会に書きます。

13. もっと詳しく知りたい方へ -オススメの本-

更に詳しく助詞について学びたい方に向けて、日本語の助詞について書かれた本の中から、いくつかオススメのものを紹介します。

【1】イメージでわかる!日本語の助詞

日本語の助詞が持つ機能を、イラストや図で分かりやすく解説した本です。

inやonなど、英語の前置詞を学ぶときに、同じようにイメージで解説した本があると思いますが、その日本語版と考えてもいいと思います。

言葉だけでは分かりにくい部分を、イメージで掴める本です。

【2】初級を教える人の文法ハンドブック

これは助詞だけの解説書ではありませんが、初級で扱う助詞の基本的な用法が、例文を交えて分かりやすく説明されています。

外国人に日本語を教える人でなくても、日本語の基本的な文法事項が整理できる良書です。

【3】日本語文法演習 助詞

上級日本語学習者向けの本です。

この本は特に取り立ての「は」の使い方や、「は」と「が」の違い、「~に対して」など「複合格助詞」と呼ばれるものにフォーカスして書かれています。

この記事では省略している助詞の使い方について、イメージがつかめる本だと思います。

まとめ

いかがでしたか。

日本語の助詞、その中でも格助詞と「は」について、主な用法や教え方等を整理しました。

なお、これ以外にも格助詞の用法や例外的な使い方はたくさんあります。

ただ、日常生活で良く使われる格助詞の主な用法のまとめノートとして、この記事を参考にしてもらえれば幸いです。

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