日本語学習者がよくする間違いって、どのようなものがあるんでしょうか。
以前、こちらの記事↓でN3(程度の)レベルの学習者がよくする語彙間違いを紹介しました。
今回は、その第2弾です。
第2弾の今回も、「N3(ぐらい)の語彙表現の誤用」を10個、ピックアップしています。
✔️日本語教師になりたてで、学習者の間違いの訂正がうまくできるか不安
学習者からよく出てくる間違いを事前に知っておくことで、授業への不安を減らすことができ、予想外の答えに戸惑うことも少なくなると思います。
ぜひ参考にしてみてください。
語彙編Part1や文法編も公開しているので、併せて読んでみてください。
それでは早速いきましょう!
N3レベル(ぐらい)の語彙表現のよくある誤用【Part2】
1. ×先、○さっき
発音の近似性もあり、この2つの混同はとてもよく起きます。
特に「さっき」を使うべきタイミングで「先」を使ってしまう誤用が多い印象です。
喋っているときはスルーできる程度の発音だったり、気づかなかったりするのですが、書いているのを見ると実は混同していたというパターンがよく見られます。
2. ×寝坊する、○遅く起きる
通常「寝坊する」は何かの約束や、やらなければならないことがあるときなどに、
本来起きるべき時間より遅く起きてしまった
という意味で使います。
でも単純に「寝坊する=遅く起きる」と誤って覚えてしまっている学習者は結構いるので、
この例のように、特に予定のない日に「起きるのが遅かった」と表したいだけのときに
「寝坊する」を使う誤用が起きることがあります。
3. ×遅刻する、○遅れる
「遅刻する」は基本的に人にしか使いませんが、そこが曖昧な学習者は、「遅れる」を使うべきところで「遅刻する」を使ってしまうことがあります。
実は日本語学校では「遅れる」より「遅刻する」の方が使用頻度が高いので、「遅刻する」は知っていても「遅れる」を知らない学習者はまあまあいるんですよね。
また、両方知っていても、「遅れる」が咄嗟に出てこず、「遅刻する」を使ってしまう場合もあります。
4. ×おしゃべる、○しゃべる
N3ぐらいのレベルになると、「おしゃべり」という名詞を知っている学習者は多くなります。
その影響か、「おしゃべり」と「しゃべる」が混ざって、「おしゃべる」という動詞を作ってしまう学習者が出てきます。
授業では、初級から「しゃべる」より「話す」の方が圧倒的によく出てくるので、使用頻度がそこまで高くないことも影響しているかもしれないですね。
5. ×ただ今、○たった今
上の1番、次の6番とも共通しますが
・小さい「つ」(促音)
・伸ばす音(長音)
・「ん」(撥音)
・濁音・半濁音
の有無は、日本語学習者にとって判断がかなり難しいところです。
「ただ今」「たった今」は
・「た」と「だ」の濁点の有無
・「たた」か「たった」かの促音の有無
この2つを判断しないといけないうえに、意味も近いので、使い分けの難易度が高めです。
そして外国人にとって、メール等で小さい「つ」を打つのが結構難しいことも、原因の一つとして挙げられると思います。
6. ×まま、○まあまあ
5番と同様です。
日本人でも、初めて「ままです」というのを見て、すぐに「まあまあ」の誤用だと判断するのは難しいのではないでしょうか。
メール等での出現率が高い誤用だと思います。
ちなみに「もう終わりました」の意味で、「も終わりました」というのもよく目にします。
7. ×手袋を履く、○手袋をする・はめる
日本語のように、服やファッションアイテムの種類によって使う動詞が細分化されている言語は珍しいと思います。
例えば
✔️帽子 → 被る
✔️めがね → かける
✔️上半身 → 着る
✔️下半身 → 履く
✔️マフラー → する、巻く
✔️手袋 → する、はめる
など…
この使い分けがすぐにできる人は少ないですね。
8. ×自分で、○1人で
これは、中国語話者に多い、「1人で」「自分で」の混同の例です。
例えば
①「自分で行く」
②「1人で行く」
これは、意味は異なりますがどちらもOKなんですよね。
でも実はこの使い分けができていないことが結構あって、
そういう人は、「1人で」しか使えない文脈で、「自分で」を使ってしまいます。
中国語では「1人で」を「自己」と表すので、「自分で」と混同しやすいのも理解できますね。
「(他の人に頼まないで)自分で行く」と「(人数的に)1人で行く」は意味的な区別が難しいというのも一因だと思います。
9. ×別々になる、○別れる
「別々になる」は家族などが「離れ離れになる」の意味で使うこともできますが、
恋人と「別れる」の意味では使いにくいですよね。
ただ、漢字も同じで、持っているイメージも重なる部分があるので、「別れる」より定着度の高い「別々」の方を使う誤用は多く見られます。
10. ×〜する、○他のV
・彼はゲームに夢中しています。
・彼はゲームに夢中になっています。
本来「する」を付けて動詞化できないものを無理矢理動詞化してしまう誤用です。
ここは母語の干渉が大きいと個人的には思います。
母語で動詞として使えるものには「する」をつけたくなる心理でしょう。
その中でもこの「冗談」と「夢中」は、他のものと比べて誤用が多く見られる印象ですね。
いかがでしたか。
このような間違いが起きることを知っておくと、授業中やその他の場面での学習者とのやり取りで想定外の出来事に戸惑ったり、誤解が生じるのを防いだりするのに役に立つと思います。
ぜひぜひ覚えておいてください!
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