日本語教師になりたいんですが、どんな資質が必要なのか、どんな性格の人が向いているのか、私でも日本語教師になれるのか、分かりません…
今回は、これまでの私の日本語教師経験から、「日本語教師に向いている人」ってどんな人?
という疑問に答えてみたいと思います。
ただし、
「この適性がないから日本語教師は向いてない…」
「日本語教師になるには、この素質が絶対に必要!」
とは思わず、あくまで
「こんな適性があれば日本語教師になったときに有利」
「こんなことが好きだったら日本語教師の仕事にやりがいを感じやすい」
ぐらいのスタンスで読んでみてください。
「日本語教師になりたい!」という熱い気持ちがある方は、当てはまらなかったところを気をつけるべきポイント、意識していくべきポイントとして見てもらえたら、より日本語教師の夢に近づけると思います。
今回の【Part1】で5つ、次の【Part2】で5つ、計10個のポイントを紹介します。
それではいきましょう!
1. 日本語が好き、日本語が気になる!
日本語教師は、授業準備の過程で、語彙や文法の使い方、使用場面、類似表現の違いなどについて考えます。
基本的な用法や意味などは、文型辞典や類語辞典に載っていますが、載っていないけど調べておくべきことも結構あります。
【詳しくはこちら↓】
文法→新人日本語教師に送る文法分析のススメ
語彙→日本語教師の類義語の見分け方のポイント
文法や語彙の分析をしっかりやっていないと、授業中の学習者からの質問にしっかり答えられず、授業がうまくいかなくなったり、学習者からの信頼を失ったりしてしまいます。
でも、これは結構時間と労力のかかる作業です。
日本語の文法や語彙、類似表現の違いなどを解き明かすことにある程度の楽しみを感じられて、探究心を持てる人じゃないと、この作業が苦になってくると思います。
ここがポイント!
- まず日本語が好き!日本語について考えたり調べたりするのが好き!
- 文法・語彙分析の楽しみポイントを見つけられる人は強い!
- 日本語の普段意識していない部分に興味を持つことも大切
- 疑問があったらすぐに調べたいと思える人は適性◎
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2. 終わりの線の引きどころを知っている
1.で書いたように、「探求心を持つこと」は不可欠なんですが、言葉の用法や類似表現の違いは、いくら調べてもすっきり規則化できないことが結構あります。
そういうときに、抽象的にしか説明できない細かな違いや用法のことを探求し始めると、時間がいくらあっても足りません。
ついつい何時間も調べてしまう人や、調べているうちに分からなくなってくるという人はこちら↓
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また、授業中も、長々と抽象的な説明をしたり、日常生活でも試験でも問われることのないような2つの語彙の違いを説明したりしても、学習者はついてきませんし、他の授業項目を圧迫することにもなりかねません。
学習者のレベルに応じて、必ず説明しないといけない部分と、省略してもOKな部分(というかむしろ説明しない方がいい部分)を見極めて、必要のない部分はうまく省略することで、準備や分析が効率化できます。
授業中も同様で、雑談や、授業の流れから逸脱した質問などに丁寧に対応しすぎると、他の学習者が「早く進めてほしいのに」という不満を持ってしまったり、大事な項目に使える時間がなくなったりしてしまうので、終わりの線をうまく引ける力は、重要になってきます。
ここがポイント!
- 探究心が強すぎると時間が幾らあっても足りない
- 教えるべきポイントとそうでない部分の見極めが大切
- 授業コントロールにおいても丁度いい割切は不可欠
- 不要な部分に気づき、うまく終わりの線を引ける人は適性◎
3. 怒り耐性◎/怒っても口に出さずに収められる
民間の日本語学校の学習者は、いろいろな国から来ています。
国が違い文化や習慣が違うので、こちらが理解できない行動を取られることも多々あります。
めちゃくちゃ腹が立つこともあります。
約束を守らなかったり、指示しても違うことをしていたり、(日本では)マナーの悪い(とされる)行動をとったり、学習態度が悪かったり…。
でも、こういう学習者に対して、大きな声で怒鳴ったり、乱暴な態度をとったりすると、それが学校、仲介業者、学習者の両親等に伝わり、結局自分が苦労したり、怒られたり、対応に追われたりします。
そして何より文化や習慣の違いから生じただけで、学習者は全く悪気がなかった、ということも結構多いです。そういう場合に怒りをぶつけてしまうと、本人も驚いたりショックを受けたりしてしまいます。
そのため、こういう時に怒りが抑えられない人は学習者とのトラブルが絶えず、信頼関係も築いていきにくいし、ストレスが溜まりやすいです。
怒りたくなることがあっても、立ち止まって、まず文化の違いや自分の授業・言動が原因になってないか考えることができたり、イライラしてもうまく怒りを受け流せる人は、適性があります。
ここがポイント!
- 多様な文化・習慣があり、日本人には理解できない行動を取られることも多々ある
- 怒りを吐き出しても誰にもメリットがないし、学習者や各方面との信頼関係も築けない
- 自分の授業や言動が原因で、学習者の態度が悪いこともある
- 怒りが生まれても立ち止まって考え、うまく受け流すことができる人は適性◎
4. 国や地域の事情について理解や関心がある
重ねてになりますが、学習者は、様々な国から来ていて、様々なバックグラウンドを持っています。
そのため、こちらは何気なく言ったことが、学習者を深く傷つけてしまうこともあります。
たとえば、
・中国、台湾、香港のこと
・日本と学習者の国の関係
・韓国と日本の歴史
など
こういう問題は結構デリケートなので、授業で扱うには注意が必要です。
これまでにも学習者同士がぶつかったり、教師の意見に学習者が反発してトラブルになったりするのを何度か見ました。
不用意な発言が、思わぬトラブルを生むこともあります。
学習者の国の文化、政治情勢などをある程度理解していて、どのような話題を授業で扱うかを考えられる(=リスクのあるテーマを不用意に授業で扱わない)こと、そして学習者をコントロールできることはとても大切な適性の1つです。
ここがポイント!
- 学習者の国や文化、他国・他地域との関係などについてはある程度の知識が必要
- デリケートな問題は、授業で不用意に扱うと思わぬトラブルを生むことになる
- 教師が自分の意見を強く主張しすぎるのも×
- 国・政治等の情勢を知り、当事者相手に扱うリスクを理解している人は適性◎
5. 想定外の事態が起きても冷静に対応できる
日本語の授業では、想定外のことが結構当たり前のように起きます。
多くの場合は、予測していなかった質問が出たり、思わぬところで学習者がつまずいたりすることによって、授業の想定プランが狂ってしまう/途中で止まったり引き返したりせざるを得ない、などの状況になります。
そういうときに、いかに短い時間で冷静に対処し、流れを戻せるかは結構重要な能力です。
例えば想定外の質問が来た場合も、全ての質問に即座に的確な答えを返さなければならないというわけではなくて(もちろんできるならそれが1番いい)、こちらのツイートで紹介した方法を使うなどして、冷静に対処することが大切です。
また、そのような質問対応に時間がかかって、他の授業項目を圧迫しそうな時どうするかなど、さまざまな想定外の事態に焦らず冷静に、そして臨機応変に対応できる人は、日本語教師に向いています。
ここがポイント!
- 日本語の授業では想定どおりにいかないことがたくさんある
- 想定外の質問、想定外のつまずきなどがその原因
- 予定にない部分に手間取ると、後の授業への影響が大きい上に信頼も得にくい
- 不測の事態が起きても冷静に、臨機応変に対応できる人は適性◎
日本語教師に向いている人【Part1】のまとめ
日本語教師に向いている人が持っている適性は…
- 1. 日本語に対する探究心がある
- 2. 終わりの線の引きどころを知っている
- 3. 怒り耐性◎/怒っても口に出さずに収められる
- 4. 国や地域の事情について理解や関心がある
- 5. 想定外の事態が起きても冷静に対応できる
いかがでしたか。
【Part2】はこちら↓
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