「日本語学校」って、存在は聞いたことがあるけど、どんな場所なのかイマイチ分かりません。
日本語学校とは、その名の通り、主に日本語を母語としない外国人を相手に日本語を教える学校のことを指します。
ただ、「日本語学校というワードは聞いたことがあるけど、誰が何をするところなのか具体的にイメージできない」という人は少なくないと思います。
今回は日本国内の日本語学校について、誰が、どのような目的で、何をするところなのか、簡単に解説します。
✔️日本語学校とはどんなところなのか知りたい!
✔️日本語学校での仕事に興味がある!
1. 日本語学校の定義は?
日本語学校は、行政的には「日本語教育機関」と呼ばれ、2023年現在は法務省が管轄しています。
法務省が定めている「日本語教育機関の告示基準(日本語学校のルール)」に適合することが認められた学校は、「法務省告示校」と呼ばれます。
法務省告示校は、2023年時点で全国に800校以上あります(告示校の一覧はこちら)。
大抵の場合、国内の「日本語学校」というのは、この「法務省告示校」のことを指します。
なお、先ごろ成立した「日本語教育機関認定法」により、2024年からは文部科学省に管轄が移ります。
日本語学校は、文科省に認められた「認定日本語教育機関」にならなければ、在留資格「留学」で日本に在留する外国人を受け入れることができなくなります。
ちなみに、多くの日本語学校は、専門学校や民間企業によって設立されています。
また、海外から日本語学校に入学する外国人は、母国の学校や仲介業者のサポートを受けて日本に留学してくるのが普通です(口コミを見て個人で申し込んでくる人ももちろんいますが)。
日本語学校への留学の流れが詳しく知りたい方はこちら↓
2. なぜ日本語学校に行くの?
日本語学校の在籍者の多くは、上で述べた「留学」の在留資格を持つ外国人(以下「留学生」)です。
留学生は、日本の大学や大学院、専門学校への進学を目指して来日しますが、通常はその前にまず一度日本語学校を経由します。
これは、大学等への進学(入試)の際に、一定以上の日本語能力が必要になるためです。
留学生は、日本語学校に在籍して日本語を勉強しながら、進学の準備をします。
また、多くの高等教育機関の入試は、「留学」の在留資格を持った人が対象になっているので、来日して日本語学校に在籍しておくことで、海外から直接入試を受けるのに比べて、チャレンジできる入試の幅がかなり広がります。
これに加えて、最近では、新しい在留資格「特定技能」の創設も相まって、日本での就労を目指す外国人も増えてきました。
このような人たちも、まず留学生として来日し、日本語学校を卒業した後で、「特定技能」や就労のビザに切り替えることが結構あります。
この他には、就労者やその家族、仕事で日本に短期滞在している人などが、生活に必要な日本語を学んだり、日本語能力試験の勉強をしたりするために、日本語学校に通っていることもあります。
3. 日本語学校ではどんな授業が行われている?
当然ながら、日本語学校では、外国人向けの日本語の授業が行われます。
上で述べた留学生は、日本語学校への入学時に(正確には在留資格「留学」の取得申請時に)、日本語能力試験N5レベル相当(最低限の日常会話ができるレベル)の日本語能力が求められるため、日本語学校での授業は、ひらがなやカタカナを覚えた段階あたりからスタートします。
ただ、国で高いレベルの日本語能力を身につけてきた人や、日本語学校に長期間(最大2年まで在籍可能)いた人などは、上級レベルの日本語を学びます。
そのため、日本語学校の授業は、初級~上級までレベルが多岐に渡ります。
授業時間数は、法務省告示校の場合、年間760単位時間(コマ)が最低限必要と定められているため、授業は平日の5日間、午前か午後に、45分×4~5コマで行われることが多くなっています。
授業の方法は、国内の日本語学校の場合、日本人講師による直接法(他の外国語を使わず日本語だけで教える)授業が主流です。
また、留学生は大学・大学院入試で理科や社会、数学、英語などの知識が問われることになるので、そのような科目を教えている日本語学校も多くあります。
外国人向けの日本語の授業や教え方について詳しく知りたい方はこちら↓
4. どんな人が在籍している?年齢、国籍は?
2のセクションで述べたように、国内の日本語学校には、大きく分けて留学・就労・生活の3つのニーズがあります。
その中で圧倒的に多いのは「留学」です。
2022年時点では、約5万人の留学生が日本語学校に在籍しています。
在籍者の国籍は様々ですが、中国、ベトナム、ネパールが多く、最近ではミャンマーやバングラデシュの学習者も増加が顕著です。
欧米系の学習者は全体的に少なめです。
留学生の多くは、日本の大学や専門学校への進学を目指します。
年齢は、18歳から25歳ぐらいまでが大半を占めます。
進学先で学ぶのは、経済や経営、文学や国際関係、芸術やファッション、自動車や機械など様々です。
それ以外にも、以下のような人が日本語学校で日本語を学んでいます。
・日本での就職を目指し、日本語能力試験に合格したい
・家族の仕事の都合で日本に住んでいて、生活に必要な日本語を学びたい
・仕事の都合で日本にいるので、空いた時間に日本語学校で勉強したい
・日本文化をより深く理解するために、日本語で生活しながら日本語を学びたい
日本にいる外国人について詳しく知りたい方はこちら↓
日本語学校には、「留学」の在留資格を使って、アルバイトに明け暮れる外国人もいます。東・東南アジアの学習者の中には、国に仕送りするためにアルバイトをいくつも掛け持ちして、月に20万円以上稼ぐ人もいます。
「留学」で在留する外国人のアルバイトは、1週間28時間まで(長期休暇時は除く)と決められているので、週に28時間以上働いていることが入国管理局にバレると、厳しく指導されることになります。
その場合、日本語学校の評価にも影響するので、日本語学校は在籍者管理に神経をとがらせなければなりません。
5. アルバイトや求人はある?
実は「日本語学校」と一緒に多く検索されているのは、「日本語学校 東京」「日本語学校 大阪」などの地域名や、「求人」というワードです。
日本語教師の仕事を探して検索する人は、今でも多いようです。
ちなみに、日本語学校業界は、全体的に万年人手不足が続いており、日本語学校の求人情報は、大手の求人サイトを見てみるとたくさん見つかります。
なお、日本語学校の新学期開講は4月と10月なので(学校によっては7月と1月もある)、その前の2月~3月、8月~9月は多くの学校から求人が出されるので、学校をじっくり吟味したい方は、この時期の求人をチェックするのがオススメです。
こちらの記事で、日本語教師の求人情報を探すのに便利なサイトをまとめているので、良ければ参考にしてみてください。
多くの求人は非常勤講師の募集で、待遇も1コマ(45分)2000円前後が相場ですが、中には常勤講師の募集や、事務職員の募集もあったりします。
まとめ
いかがでしたか。
「日本語学校」という場所について、少しは理解していただけたでしょうか。
なお、日本語学校での日本語教師の仕事内容や、規模による日本語学校の特徴など、他にもいろいろな記事を書いているので、興味がある方は、他の記事ものぞいてみてください。
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