日本語教師の仕事にもだんだん慣れてきましたが、授業がイマイチ盛り上がらなくて…
外国人学習者に楽しいと思ってもらえて、授業が盛り上がるネタやアイデアはないでしょうか。
この記事では、日本語教師を始めたばかりの人や、授業のアイデアがなくて困っている人、授業中の活動がイマイチ盛り上がらず悩んでいる人のために、日本語の授業で盛り上がること間違いなしの活動のアイデアを紹介します。
初級~上級で幅広く使えるアイデアを集めたので、ぜひ参考にしてみてください。
✔️授業が盛り上がるアイデアやネタがほしい!
✔️授業中の活動の引き出しを増やしたい!
✔️学習者との距離を縮めて、楽しく活発な授業の雰囲気を作りたい!
0.なぜ授業が盛り上がらないのか
アイデアを集める前に考えてほしいのは、そもそもなぜ授業が盛り上がらないのかということです。
その原因はいろいろありますが、主に以下のようなことに起因している場合が多いです。
(1)学習者を惹きつける授業ができていない
・単調な練習が何度も繰り返されている
・教師が喋るだけの講義のような授業になっている
・自由度の低い練習ばかりが行われている
このような授業をしていると、学習者が積極的に発言する機会がそもそも少なく、盛り上がるきっかけが生まれにくくなってしまいます。
授業の主役は日本語教師ではなく、学習者です。
教師が楽しい授業をすることももちろん大切なのですが、まずは学習者の発話機会をしっかり確保すること、そして学習者が自由に考えられる練習や、学習者の生活に活かせる内容を取り入れていくことが大切です。
(2)教師の指示が曖昧で、学習者に活動の目的や意図が伝わっていない
授業内でどんな活動や練習を、どんな目的のために行っているかを常に学習者に明確に示しておくことは、授業をスムーズに進め、学習者の積極的な参加を促すために不可欠です。
特に日本語教師の相手は外国人なので、日本人相手の授業よりもこの部分が重要だと言えます。
授業内の、特に活動や練習を始める時の指示や説明は、学習者のレベルに合わせた表現で、簡潔に、そして明確に行うことを意識してください。
初級では複文ではなく単文で話すこと、例を提示しながら話すことなどに気を付けると、指示が伝えやすくなります。
ちなみに、外国人に伝わりやすい話し方のコツはこちらの記事に詳しくまとめてあります↓
(3)学習者と教師の信頼関係が十分にできていない
教師が授業に入り始めたばかりのときや、学習者が授業を受け始めて間もないときは、学習者も教師や他のクラスメイトの様子を見ていて、積極的な発言が少ない場合もあります。
私たちも、海外に留学して、知らないクラスメイトや先生の前で、最初から積極的に発言していくのはなかなか難しいですよね。
また、ある程度期間が経って授業やクラスに慣れてきても、そもそも授業が楽しくなかったり、日本語教師の説明が分かりにくかったりすると、学習者もその教師の授業への興味が徐々に薄れ、態度も消極的になってしまいます。
学習者とのコミュニケーションをしっかり取り、学習者の性格や普段の状態を理解してから、お互いの信頼関係を少しずつ築いていくことが大切です。
また、そもそも個人の学習意欲が低かったり、何か嫌なことがあって落ち込んでいたりする場合もあるので、学習者の様子をしっかり観察することも忘れないようにしましょう。
学習者にやる気を出してもらうコツはこちらの記事にまとめてあるので、参考にしてみてください。
以上のことを改善するだけで、積極的に授業に参加してくれる学習者が増えると思うので、活動のアイデアを増やす前に、これらの原因を自分が作っていないか、確認してみてください。
1.学習者同士のインタビュー活動
ここからは、本題である授業が盛り上がる活動のアイデアを具体的に見ていきましょう。
まず最初は、習った表現を使いながら、学習者同士でそれぞれの生活や趣味、経験などについてインタビューし合う活動です。
こちらのツイートでも紹介しましたが、インタビューは昔から日本語教育で活用されてきたタスクです。
学習者は自分自身のことを答えられるので自由度も高く楽しいし、学習者同士が会話を通してお互いを知るきっかけにもなります。クラスの雰囲気を良くするためには、教師と学習者の関係だけでなく、学習者同士の関係を良くすることも重要です。
質問項目を変えることでレベルも調整でき、進め方も単純で分かりやすいので、初級~上級までどのレベルでも行える活動です。
1つポイントとして抑えておきたいのは、学習者がインタビューの質問項目を自由に考える部分を入れておくということです。質問を自分で考える部分を入れることによって、練習の自由度も更に上がるし、習った表現の練習もできます。
ユーモアのある質問を考えてくれる学習者や、びっくりするような回答をしてくれる学習者がいたら、会話中だけでなく、発表の場面でも盛り上がります。
2.インフォメーションギャップを使ったペア活動
次に紹介するのは、インフォメーションギャップ(情報の差)を使った活動です。
基本的には2人ペアで行うことが多い活動で、AとBに異なるイラストやワークシートなどを配布し、その違いについてペアで話したり質問したりします。
例えば、初級でよく行われる活動には、以下のようなものがあります。
・2人に同じ部屋の絵を配る(置かれている家具や家電の数や位置が異なる)
→家具や家電がどこにあるかをそれぞれ質問し合って、答えをメモしてあとで発表する
・地図のイラストを配る(建物や施設の位置が異なる)
→どこに何があるかをそれぞれが言い合って、答えをメモしてあとで発表する
・Aには道だけが描かれた地図と施設のリストを渡し、Bには施設が描かれた同じ地図を渡す
→AがBにそれぞれの施設がどこにあるか聞いてメモしていき、終わったらAのメモとBの地図が一致しているか確認する
この活動は、もちろん2人ペアでやらなければならない訳ではありません。
例えば、クラス全体でやるなら、以下のような進め方もあります。
①学習者それぞれに違う店舗の情報が書かれたカードを渡す
②①に加えて、ミッションが書かれたカードも学習者に配布する
(例えば「〇〇カフェの開店時間を調べろ」とか)
③学習者はクラスメイトに質問していき、自分の欲しい情報を持っている人を探し、情報を突き止める
④最後に突き止めた情報を発表する
相手が持っている情報と自分が持っている情報が違うと、「どんな情報を持っているか知りたい!」という心理になるし、ミッションがあると何をするのかが明確になるので、学習者も積極的になりやすいです。
会話をしていく中で、相手が持っている情報を聞き出せたり、自分の持っている情報との違いを見つけられたりしたときは、学習者も嬉しそうな表情を見せてくれます。
3.ロールプレイ形式の活動
客と店員、先生と学生、上司と部下など、それぞれに役割を与えて、ペアやグループでロールプレイ形式の会話練習をする活動です。
役割のほかに、先ほどのインフォメーションギャップの活動と同様に、それぞれにミッションを指定するのも良いと思います。
例えば客と店員だったら、以下のようなミッションが考えられます。
・客→店で買った商品に欠陥があり、返金対応をしてもらう
・店員→謝罪をしたうえで、返金ではなく新品との交換を提案し、客に納得してもらう
それぞれの役割を意識し、習った表現を使いながら、このようなミッションの達成を目指していきます。
初級の場合は、「○○と●●を買う」とか、「○○さんをパーティーに誘う」など、もっとシンプルなミッションになりますね。
この活動は、インタビューやインフォメーションギャップよりもやり方がやや複雑になるので、役割やミッションがしっかりと伝わるように、ロールカードを渡したうえで口頭説明も追加するなどのケアが必要です。
ここができていないと、楽しい活動どころか、授業の雰囲気がより盛り下がる結果になってしまうので、しっかり指示内容や説明の仕方を推敲しましょう。
上に紹介したインタビューやインフォメーションギャップ、ロールプレイの活動が豊富に収録されている「おたすけタスク」は、文型シラバスの教科書の授業準備に困っている日本語教師の方にオススメです。
この本には、主に初級で扱う文型を使ったタスク・活動のアイデアと、実際の活動用のイラストや教材が収録されています。
そのまますぐに授業に使えるので、アイデアの吸収と、授業準備の時間短縮が同時にできます。
4.チーム対抗形式の活動
クラスを2~5ぐらいのチームに分け、競争する形の活動も、学習者は積極的に取り組んでくれる傾向があります。
チームに分けると、クラス全体で進めているときは積極的に発言しない学習者が話しやすくなるメリットもあります。
全員の前で間違えたり、自分の意見を発表したりするのが恥ずかしいという人も、グループ内だとその恥ずかしさや怖さが軽減されて、話しやすくなるんですよね。
また、やや学習が遅れていて、全体で進めているときは会話の流れに入っていくのが難しい人も、良くできる人と一緒のグループならサポートしてもらえるので、活動にも参加しやすくなります。
一緒に活動する仲間(チーム)がいるのは単純に楽しいですしね。
具体的には、
・教師がクイズを出して、正解したチームにポイントを与えていく→最後に集計して優勝チームを決める
・先生が発信する情報を聞いたり、自分たちで調べたりして、チームで何か1つのもの(プレゼンや発表内容)を作り上げる
・グループで話し合って、意見を1つにまとめて発表する
などの活動があります。
また、以下の記事で紹介している準備不要のミニゲームも、チーム対抗で行うと盛り上がること請け合いです。
「時間が余ったときに…」と書いていますが、こちらはアイスブレイクやウォーミングアップでも活用できます。
5.グループディスカッション・ディベート
これはある程度自分の意見をまとめて話せるようになる中級~上級で実施することが主ですが、グループディスカッションやディベートは白熱します。
少人数のクラスなら、全体で1つのテーマについて話し合って結論をまとめるディスカッション形式が良いし、3対3以上のチームが組める人数がいればディベート形式が面白いです。
基本的な進め方は、就職活動や公教育でよく行われる形と同じなので省略しますが、テーマのレベルや、求める意見の質と量を調整すれば、中級初期以上の幅広いレベルの授業で使える活動です。
グループディスカッションなら、
・子供は何歳からスマホを持たせるべきか
・50年後はどんなロボットが開発されているか
・消しゴムを1万円で売るにはどうすればいいか
ディベートなら、
・高校生はアルバイトをしてもいいか
・働くなら大企業か中小企業か
・老後に住むなら田舎か都会か
などのテーマは、実際に留学生のクラスで取り扱って大いに盛り上がりました。
上級では、テーマの細かな定義設定や資料・データ収集もしっかりと説明・練習を行えば問題なくできるし、本気の討論が展開できます。
ただ、ディベートの場合は特に、熱くなりすぎてケンカにならないように注意です…(実際にそうなったこともあります😅)
外国人学習者は、海外で様々な文化や習慣に触れながら育っているので、ときに日本語教師も驚いてしまうような、ユニークな意見を言ったり、鋭い指摘をしてくれたりすることもあります。
まとめ
いかがでしたか。
メリハリをつけながらこのような活動を授業の中に取り入れていくことで、楽しい授業が展開でき、学習者も積極的に参加・発言してくれるようになります。
どの活動をやるにしても、学習者と教師、学習者同士の信頼関係を築きながら、活動の目的ややり方を明確に伝え、学習者が発話できる機会を多く確保することが、授業を盛り上げるコツだと言えると思います。
より具体的な活動のアイデアや内容が知りたい方は、上で紹介した本や記事を参考にしてみてください。
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